【南禅寺塔頭】金地院の魅力とは?小堀遠州作「鶴亀の庭」と特別公開の見どころ

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金地院庫裏

“京都はんなりずむ”を訪れて頂きありがとうございます。

京都在住のブロガーKyotaroです。

京都・東山、名刹・南禅寺の塔頭(たっちゅう)である「金地院(こんちいん)」。

徳川家康の側近として幕政を動かした名僧「以心崇伝(いしんすうでん)」ゆかりの寺院です。

境内には、国の特別名勝に指定された枯山水庭園をはじめ、重要文化財の茶室や東照宮など、歴史ファンや庭園好きにはたまらない見どころが凝縮されています。

今回は、特別名勝「鶴亀の庭」のディテールから、特別公開で出会える文化財、そしてドラマチックな歴史背景まで、金地院の魅力をたっぷりお届けします!

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金地院の庭園について

金地院方丈前の枯山水庭園

金地院のシンボルといえば、本堂にあたる方丈前に広がる「鶴亀の庭(つるかめのにわ)」です。

方丈から眺める広大な庭園美

国の特別名勝に指定された枯山水庭園で、江戸時代初期の蓬莱式庭園の最高峰と称されています。

小堀遠州の意図が明確に残る「唯一の作庭」

日本全国に「小堀遠州作」と伝わる庭園は数多く存在します。

しかし、設計・構想から施工に至るまで遠州自身の手によるものであると古文書で明確に確認できる唯一の庭園こそが、この金地院の「鶴亀の庭」です。

造営の指揮を執ったのは遠州本人であり、実際の施工は加藤清正の家臣でもあった名工・賢庭(けんてい)が手がけました。

徳川三代将軍・家光の上洛を迎えるために造営され、直線と曲線を緻密に計算した「遠州好み」の美学が随所に息づいています。

「鶴」と「亀」生き生きとした陰陽の対比

白砂が大海原を表現する中、左右に向かい合うように配置された二つの島が「鶴亀の庭」の主役です。

方丈からみて三尊石の右手にある鶴島

鶴島(向かって右側)は、羽ばたく鶴の姿を表現した力強い石組。

くちばしに見立てられた長さ約4mもの巨石「鶴嘴石(かくしせき)」を中心に組まれ、その上には鶴の羽のように青々とした松がダイナミックに枝を伸ばしています。

鶴島と対面する左側の亀島、築山のビャクシン(柏槙)が印象的

亀島(向かって左側)は、大海へ潜ろうとする亀の姿を表現した石組。

島の上には蓬莱山の仙樹とされる樹齢600年以上のビャクシン(柏槙)が盆栽のように美しく生い茂り、静と動、鶴と亀の陰陽の対比が見事な空間を作り出しています。

徳川幕府への祈りが込められた「遥拝石」と「蓬莱山」

方丈の正面、庭園中央にある豪快な石組「三尊石」

鶴島と亀島の間には仙人が住む理想郷を表す「蓬莱山」の三尊石組があり、その手前には横約4m・縦約2m(畳約4畳分)という異例の大きさを誇る平らな石「遥拝石(ようはいせき)」が据えられています。

本来は石橋として寄進された巨石ですが、遠州はこの庭園で「礼拝のための石」として大胆に配置しました。

この遥拝石の上に立ち、庭園の背後(境内奥)に位置する「金地院東照宮」を遠くから拝む構図になっており、徳川家の永遠の繁栄と天下太平への祈りが庭園全体の造形に緻密に組み込まれています。

京都で唯一の権現造「金地院東照宮」

金地院東照宮

特別拝観の順路でぜひじっくり参拝したいのが、徳川家康の遺髪と念持仏が納められている「金地院東照宮」です。

江戸幕府の権勢と格式を今日に伝える、金地院の中でも格別の重要文化財となっています。

日光東照宮に並ぶ「権現造」の華麗な建築

寛永5年(1628年)に造営されたこの東照宮は、本殿と拝殿を「相の間」で繋ぐ「権現造(ごんげんづくり)」という建築様式で作られています。

日光東照宮と同じこの様式で建てられた建築は、京都では非常に珍しく貴重な存在です。極彩色で彩られた豪華絢爛な佇まいは、静寂な禅寺の境内の中で異彩を放つ美しいアクセントとなっています。

狩野探幽「鳴龍」と土佐光起「三十六歌仙額」

拝殿内部の天井に描かれた狩野探幽による「鳴龍」

拝殿の内部や細部には、江戸初期を代表する最高の絵師たちによる意匠が凝らされています。

「金地院東照宮」拝殿天井の「鳴龍」金地院のポスターより

拝殿の天井を見上げると描かれているのが、弱冠20代の巨匠・狩野探幽(かのうたんゆう)による「鳴龍(なきりゅう)」。豪快かつ精緻な龍の姿は圧巻の一言です。

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さらに拝殿内には、土佐派の巨匠・土佐光起(とさみつおき)筆による「三十六歌仙額」や、鮮やかな鳥獣の刻彫が施された欄間などがあり、江戸初期の洗練された美術・建築様式を間近で鑑賞することができます。

金地院特別公開の見どころについて

金地院の特別公開(方丈内部や茶室など)は、貴重な文化財保護のため「写真撮影禁止」となっています。そのため本記事で写真をお見せできないのが残念ですが、その分、現地で目にした素晴らしい空間の魅力を言葉でしっかりとお伝えします!

金地院で定期開催される特別拝観

特別拝観で案内される建物内部には、日本美術史に燦然と輝く名品や名建築が凝縮されています。

長谷川等伯による至高の障壁画

方丈内部の小書院などで見ることができる最大の注目が、巨匠・長谷川等伯筆の重要文化財『猿猴捉月図(えんこうそくげつず)』。

水面に映る月を捕まえようとするテナガザルが描かれており、竹を割いた毛筆で描かれたフサフサとした毛並みの質感、愛くるしい表情は必見です。

この画には「身の程知らずは身を滅ぼす(能力以上のものを求めると身を滅ぼす)」という仏教的な教訓も込められています。

また、本堂内部には狩野派による金碧障壁画が広がり、豪華で荘厳な世界に引き込まれます。

光と陰影の計算が美しい茶室「八窓の席」

小堀遠州が手がけた重要文化財「八窓の席(はっそうのせき)」は、古田織部好みの「燕庵(えんあん)」をお手本に作られたとされる茶室です。

大徳寺孤篷庵の「忘筌(ぼうせん)」、曼殊院の「八窓軒(はっそうけん)」とともに「京都三名席」の一つに数えられています。

「八窓」の名がありますが現在は6つの窓が残り、光の採り入れ方や透かし柱の配置など、利休時代の侘び茶から一歩進んだ「きれい侘び」の空間美を体感できます。

金地院の歴史について

金地院東照宮の東照宮楼門

金地院が辿ってきた歴史を知ると、この静かな寺院がかつて「日本の政治の中心地」であったことを伺い知ることができます。

詳しく見ていきましょう。

洛北での創建から南禅寺への移転

金地院の歴史は古く、1394~1428年(応永年間)に室町幕府4代将軍の足利義持が北区鷹ヶ峰に建立したのが始まりです。

その後、江戸時代初期の1605年(慶長10)、徳川家康の信任を一身に受けた名僧「以心崇伝(いしんすうでん)」によって、南禅寺の塔頭として現在の場所に移築・再興されました。

崇伝は寛永4年(1627年)から大改築に着手し、現在見られるような堂々たる伽藍と庭園を整えたのです。

「黒衣の宰相」以心崇伝と幕府政治の裏舞台

「金地院崇伝」とも呼ばれる崇伝は、家康・秀忠・家光の徳川三代に仕えた最高幹部の一人です。

外交文書の起草から、武家を統制する「武家諸法度」、朝廷や公家を統制する「禁中並公家諸法度」の制定に至るまで、江戸幕府の基礎となる宗教・外交政策を一手に担いました。

さらに、豊臣家滅亡の契機となった方広寺の「鐘銘事件(国家安康・君臣豊楽)」にも深く関与したとされています。僧侶でありながら国家の重要政策を裏で動かしたことから、人々から「黒衣の宰相(こくいのおおしょう)」と恐れられました。

全国の寺社を統括した「僧録司」の拠点

崇伝はのちに、全国の臨済宗寺院の総統括および寺社行政全般を担う最高機関「僧録司(そうろくし)」の職に就きました。

これにより金地院は、幕末に至るまで日本の宗教界全体を管理・統制する最高司令部としての役割を果たし続けたのです。

現在残る『異国日記』や『本光国師語録』といった貴重な史料群は、当時の金地院がいかに日本の外交・行政の中心地であったかを今に伝えています。

金地院の詳細・アクセスについて

●南禅寺塔頭・金地院
TEL:075-771-3511
〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町86-12
◆拝観時間 8:30~17:00(12月~2月末日は16:30まで※受付終了は閉門の15分前)
◆拝観料
・通常拝観(庭園+東照宮):大人500円 / 高校生400円 / 小・中学生300円
・特別拝観(八窓席+方丈内部):大人700円 / 大学生600円 / 高校生500円 / 小・中学生400円
※特別拝観は予約制・時間指定制(空き枠があれば当日受付も可)
※特別拝観(茶室や方丈内部)は、事前に案内時間や予約の有無をご確認の上でお出かけください。
◆アクセス
・地下鉄東西線「蹴上駅」より徒歩約5分
・市バス「南禅寺・永観堂道」下車 徒歩約10分
◆駐車場 自家用車用あり(数台分)※周辺にコインパーキング多数あり


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まとめ

金地院の明智門

南禅寺の傍らにひっそりと佇む金地院は、小堀遠州の美意識が詰まった「鶴亀の庭」の造形美と、「黒衣の宰相」崇伝が動かした歴史の重みを同時に堪能できる贅沢なスポットです。

特別公開は内部の写真撮影ができないからこそ、五感を研ぎ澄ませて目の前の襖絵や茶室と向き合う、特別な時間を過ごすことができます。

春の青もみじや秋の紅葉に包まれる季節はもちろん、静けさに満ちた普段の境内も大変おすすめです。

南禅寺散策の際は、ぜひ金地院へ足を伸ばして贅沢なひとときを味わってみませんか。

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この記事を書いた人

京都市在住、念願の京都に1戸建て住宅を新築購入した既婚の55歳、フツーの会社員からフリーランスに転身。子供は3人で男ー女ー男の“二太郎+一姫”。将来は奥さんと京都でお洒落なカフェを営むことができればいいな、とささやかな夢を持っています。どうぞよろしくお願いします。

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