先斗町歌舞練場は映画「国宝」のロケ地、京都の粋とモダンが融合する建築の魅力

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京都在住のブロガーKyotaroです。

京都五花街のひとつ、風情ある先斗町。

その鴨川沿いに佇む「先斗町歌舞練場」は、春の訪れを告げる「鴨川をどり」の舞台として知られ、先斗町のランドマークでもあります。

1927年(昭和2)の創演以来、約100年の歴史を誇るこの歌舞練場は、単なる劇場にとどまらない、和と洋が見事に融合した建築の傑作。

今回は、その奥深い魅力を徹底解説します。

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先斗町歌舞練場の見どころ、なぜ和洋折衷建築?

先斗町歌舞練場最大の魅力は、その独特な「和洋折衷」の建築様式にあります。

1972年(昭和2)に完成したこの建物は、当時の最先端技術であった鉄筋コンクリート造でありながら、日本の伝統的な意匠が随所に散りばめられています。

東洋趣味と西洋技術の融合

まず目を引くのは、外壁のデザインです。

上部は西洋のモダン建築によく見られるスクラッチタイルが使用され、下部は日本の土蔵などで用いられる「なまこ壁」のようなデザイン。

このユニークな組み合わせは、京都の歴史ある街並みに溶け込みつつも、モダンな存在感を放っています。

この和洋折衷の建築は、大正から昭和初期にかけての日本の建築界の潮流、「近代和風建築」の代表例と言えるでしょう。

西洋の新しい技術や様式を取り入れつつ、日本の伝統文化や美意識を融合させることで、京都独自の美が表現されています。

歌舞練場外壁の主要なタイルとその様式

先斗町歌舞練場の外壁は、煉瓦ではなく、いくつかの種類のタイルで装飾されています。

この建物は、設計者である木村得三郎によって「東洋趣味を加味した近代建築」として設計され、その外壁は西洋の近代建築の流行と日本の伝統的な意匠が見事に融合しています。

先斗町歌舞練場外壁の主要なタイルとその様式について見ていきましょう。

スクラッチタイル

外壁の大部分を占めるのが、表面に引っ掻いたような模様が入った「スクラッチタイル」です。

このタイルは、表面の凹凸によって光の反射が変わり、建物の表情を豊かにします。

この様式は、当時の建築界に影響を与えたフランク・ロイド・ライトの作品(旧帝国ホテルなど)でも見られるもので、大正から昭和初期にかけて日本で流行しました。

なまこ壁風レリーフタイル

建物の下部には、日本の伝統的な土蔵などで見られる「なまこ壁」を模したデザインのレリーフタイルが施されています。

これは、平瓦を並べ、その目地を漆喰で盛り上げて塗った「なまこ壁」の様式をタイルで表現したもので、和風の趣を加えています。

この部分は、泰山製陶所の公式サイトによると「伊那製陶」のタイルであるとされています。

宝相華(ほうそうげ)レリーフタイル

なまこ壁風のレリーフタイルには、花をモチーフにした「宝相華」の模様が描かれています。

これは、仏教美術などで見られる想像上の華麗な花模様で、東洋的な美意識を強く感じさせます。

舞台を彩る象徴的な鬼瓦

建物の屋根の上には、雅楽の演目「蘭陵王」の舞楽面をかたどった鬼瓦が据えられています。

蘭陵王とは、勇猛でありながらも美しい容姿で知られる中国の伝説的なイケメン王。

その舞楽面は、華やかさと力強さを象徴しています。

この鬼瓦は、歌舞練場が「鴨川をどり」という日本の伝統芸能を上演する場所であることを示すとともに、建築全体のデザインにアクセントを加えています。

見る者を惹きつけるこの鬼瓦は、先斗町歌舞練場のアイデンティティを象徴する重要な存在です。

歌舞練場の3階からは鬼瓦の背面を見ることができます。

先斗町歌舞練場の玄関は泰山タイル?

先斗町歌舞練場は、1925年(大正14)年に着工し、1927年(昭和2)年に竣工しました。

設計は、大阪松竹座なども手掛けた建築家・木村得三郎です。

外観は、「東洋趣味を加味した近代建築」と評され、スクラッチタイルや、土蔵の「なまこ壁」を模したレリーフタイルが印象的です。

玄関ホールの階段や蹴上部分には、模様の入った美しいタイルが使用されています。

これらは、泰山タイルとよく似た特徴を持っていますが、泰山製陶所(公式サイト)によると「泰平タイル」の可能性が高いとされています。

しかし、なぜこのタイルが「泰山タイル」として広く知られるようになったのでしょうか?

そこには、以下のような背景が考えられます。

時代の流行

大正から昭和初期にかけて、泰山タイルは京都の近代建築を彩る代表的な装飾タイルとして、広く知られていました。

様式の類似性

泰山タイルと泰平タイルは、いずれも手作りの風合いや芸術性を重視した装飾タイルであり、その様式が似ていたため混同された可能性があります。

部分的な使用

歌舞練場の外壁にある「蘭陵王」の鬼瓦や、建物全体の瓦には泰山製陶所が関わっていたという記録があるため、建物全体が泰山タイルであるという認識が広まったのかもしれません。

このように、先斗町歌舞練場の玄関タイルは、美術タイルとしての価値や歴史を伝える重要な存在である一方、その出自には複雑な背景があると言えます。

映画「国宝」の舞台にもなった名空間

2025年に大ヒットした映画「国宝」のロケ地としても注目を集めました。

重要文化財である能舞台や歌舞伎の舞台が多数登場する同作において、先斗町歌舞練場のクラシックでありながらもモダンな佇まいは、主人公の役者人生と重なり合うように、物語に深みを与えています。

和の伝統芸能の世界を描く上で、この和洋折衷の空間は、時代を超えた美しさを表現するのに最適な舞台だったと言えるでしょう。

この映画をきっかけに、多くの人々がこの名建築の存在を知ることになりました。

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先斗町歌舞練場内で行われた撮影場所は?

先斗町歌舞練場は、映画「国宝」の主要なロケ地の一つとして使用されたことは既に紹介のとおりですが、では具体的にどこで撮影が行われたのでしょうか?

作中では、吉沢亮さん演じる主人公・立花喜久雄が歌舞伎役者として身を置く大阪の劇場「浪花座」という設定で先斗町の歌舞練場が登場しています。

具体的に撮影に使用された場所は以下の通りです。

玄関ホール

主人公の喜久雄がハイヤーから降りて楽屋口に入るシーンなどに使われました。

泰山タイル(泰平タイル)が印象的なこの玄関は、作品の世界観を彩る重要な要素となっています。

ロビー

劇場内のレトロな雰囲気のロビーも、作中のシーンで登場します。

楽屋

渡辺謙さん演じる半次郎や、吉沢亮さん演じる喜久雄の楽屋として撮影されました。

なお、映画『国宝』の中で、歌舞伎の舞台のシーンや舞台袖は、先斗町歌舞練場ではなく、同じく京都にある「上七軒歌舞練場」で撮影されています。

先斗町歌舞練場の歴史と名建築について

先斗町歌舞練場は、1872年(明治5)に京都博覧会を機に創演された「鴨川をどり」の公演場所として誕生しました。

当初は木造の建物でしたが、老朽化に伴い、1927年(昭和2)に現在の鉄筋コンクリート造の建物に建て替えられました。

劇場建築の巨匠、木村得三郎の傑作

この名建築を手がけたのは、劇場建築の名手として知られる建築家、木村得三郎。

大阪松竹座や東京劇場など、数々の劇場設計に携わった彼の設計は、機能性と美しさを兼ね備えていました。

先斗町歌舞練場は、彼の代表作の一つであり、その設計思想が随所に見て取れます。

特に、音響効果を考慮した舞台や客席の配置、華やかでありながらも落ち着いた雰囲気を持つ内装は、観客を非日常の世界へと誘います。

時代を先取りしたモダンデザイン

昭和初期のモダンなデザインと日本の伝統的な技術や美意識が融合したこの建物は、完成当時から「東洋趣味を加味した近代建築」と高い評価を受けました。

鉄筋コンクリート造という当時の最先端技術を駆使し、日本の伝統的な美意識を融合させることで、先斗町歌舞練場は独自の地位を確立しました。

内部の天井の漆喰装飾や床に敷き詰められた幾何学模様のタイルは、西洋風の華やかさを演出し、舞台や客席をさらに引き立てています。

伝統を伝える稽古の場

現在も、建物内部には踊りや鳴物などの稽古場として使われている座敷や楽屋があります。

これらの空間は、百数十年にわたり芸妓さんや舞妓さんが技を磨き、伝統を伝えてきた歴史を物語っています。

公演期間中以外は内部の見学はできませんが、建物の外観を眺めるだけでも、その歴史と建築美を感じ取ることができます。

先斗町歌舞練場へのアクセスと駐車場について

●先斗町歌舞練場
TEL:075-221-2025
〒604-8003 京都府京都市中京区橋下町130
◆見学時間・休館日
※通常、公演期間中以外は内部の見学はできません。
※建物外観の見学は自由。
◆アクセス:075-221-2025
・京阪電鉄「三条駅」下車、徒歩約5分
・阪急電鉄「京都河原町駅」下車、徒歩約10分
・市バス「河原町三条」下車、徒歩5分
◆駐車場:専用駐車場なし。※近隣のコインパーキング利用。


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まとめ

先斗町歌舞練場は、単なる「鴨川をどり」の舞台ではありません。

そこには、和と洋、伝統とモダンが美しく融合した、歴史的価値の高い建築美が息づいています。

映画「国宝」の舞台にもなったこの場所は、今後ますます多くの人々を惹きつけることでしょう。

先斗町を訪れた際は、ぜひその独特な佇まいをじっくりと眺め、京都の粋とモダンが織りなす空間の魅力に触れてみてください。

※今回、Kyotaroは「第50回京の夏の旅」のガイドツアーで訪ねてきました。

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この記事を書いた人
Kyotaro

京都在住、念願の京都に1戸建て住宅を新築購入した既婚の54歳、フツーの会社員からフリーランスに転身。子供は3人で男ー女ー男の“二太郎+一姫”。将来は奥さんと京都でお洒落なカフェを営むことができればいいな、とささやかな夢を持っています。どうぞよろしくお願いします。

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