京都在住のブロガーKyotaroです。
4月に祇園祭「山鉾巡行」の中止が発表されて3週間。実に58年ぶりの中止です。
観光としての「山鉾巡行」は無くなりましたが本来、祇園祭は毎年7月1ケ月をかけて行われる八坂神社の神事。
新型コロナウィルスの影響を受ける形となったが、疫病退散の祈りこそ「祇園祭」の本義。
58年ぶりの中止をどのように歴史に刻むのか?祇園祭山鉾連合会の今後の活動とは?
詳しく見ていきましょう。
神賑わいは人(観光客)を引き寄せるもの?
祇園祭は日本三大祭(天神祭、神田祭)のひとつ、かつ京都三大祭(葵祭、時代祭)のひとつに数えられる、全国的にも有名なお祭りです。
祇園祭の一部イベントが中止に
祇園祭は八坂神社の疫病退散の神事としての歴史があり、2020年は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、すでに祇園祭メインの「山鉾巡行」「神輿渡御」の中止が決定しています。
また予定されていたその他の神事は感染拡大防止の対策仕様に形を変えて行うことが表明されており、粛々と神事を執り行う方向で調整が現在進んでいます。
今年の祭りは歴史に残る一年となりそうだ。
疫病退散の「神賑わい」は多くの人を引き付ける?
2020年4月20日に祇園祭の中止を発表したのは祇園祭山鉾連合会の木村理事長で就任1年目の最初の祇園祭を自らの「山鉾巡行」「神輿渡御」の中止発表とともに迎えた。
本来、山鉾巡行とは疫病をもたらす疫神をお囃子や踊りで引き付けて山鉾に集めるという「神賑わい」の側面があります。
この「神賑わい」もいつしか、全国だけでなく、世界中で有名となり、神のみならず、多くの観光客という人をも引き付ける魅力ある夏祭りとなっていたのです。
皮肉にも疫病退散の神事が多くの人が密集することを避けるために中止になったのである。
過去には実施できず延期もあったが今年は?
祇園祭は疫病との戦いの歴史でもあり、明治期には4回もコレラの流行によって祇園祭の開催延期や前倒し実施をしたこともあります。
今年もそうすればいいのでは?と考えてしまいますが、そうはいかない事情が現代にはあるようです。
例えば秋に移行しようとした場合、1ケ月もの長丁場の祇園祭を10月や11月に実施しようにもこの時期、京都は年間で最大の行楽シーズンを迎え、道路の使用許可がまずおりない事情もあるようだ。
そもそも明治期とは時代が異なる、ということでしょう。
山鉾町34それぞれの考え方
山鉾連合会は山鉾を出す34の山鉾町から成り、実施するに際しての決めごとはこの34の山鉾町の代表者を集めて行われます。
今年初の代表者会議では実施賛成派と実施反対派との間で罵声怒号が飛び交い、会場が静まり返るシーンもあったとか。
華やかなイメージの祇園祭ですが、熱い思いが代表者の心の内には秘められてるんですね。
連合会が実施したアンケートでもそれぞれの意見が分かれる形となった。
新型コロナウィルスの拡散防止への思いこそ全員が共通のものでしたが、全体のうち30町は「開催に向けてできることをやる」、残り4町については「祭自体をやめるべき」と意見がわれる結果となった。
いずれにせよ新型コロナウィルスとの戦いのなかで、各山鉾保存会で執り行う神事も八坂神社での神事同様に関係者のみで行うなどの対応に迫られている。
「長い歴史の中でいろんな形で臨機応変に開催をしてきた祇園祭。今年の祭りをどのように実施するのか?が今後に繋がる大事な決断となる」と木村新理事長はコメント。
まさにその通りだと思います。
コロナが与えた祇園祭の本義を考え直す時間
祇園祭は2019年に創始から1150年の節目の年を迎えたのです。
2019年は祇園祭発祥の地である八坂神社と境外の末社と旅社に3基の神輿が集結して江戸時代まで行われていた「神輿渡御」を再現する形で行われました。
残念ながら2020年は神輿は出さない状態で神輿庫内で飾り付けのみを行う予定になっているといいます。
参拝自体は受け付けるものの人の密集を避けるために様子を見て神輿庫の扉を閉めてしまうといいます。
「山鉾巡行」は58年ぶりの中止ですが、この「神輿渡御」は昭和21年以来74年ぶりの中止。
本来、疫病退散を目的に行われてきた神事が2020年は新型コロナウィルスという“現代の疫病”によって中止になる。
やむを得ない一面もあると思うのですが、「祭りの本義とは何ぞや?」を考え直すいい機会になる、と前向きな関係者もいらっしゃいます。
また、八坂神社の森宮司も「本義を継承して時代に即した祭りのあり方に変化しながら今日の祇園祭がある」とおっしゃていたのが印象的でした。
まとめ
既に中止が決まった2020年の祇園祭「山鉾巡行」と「神輿渡御」。
観光としての祇園祭のメインでもあったので誠に残念ですね。
でも本来、祇園祭は疫病退散の祭りということを考慮すると2020年は通常開催はできないものの“できる範囲でやれることを粛々と執り行う”事で新型コロナ退散のための神事をぜひ執り行って欲しいものです。
6月上旬には詳細を決定するとのことですが、それまでは調整期間で34町関係者の意見も集約して決めるとのこと。
今回の祇園祭の一部イベントの中止は今我々ができることを粛々と行い、終息後の生活に備える時期なんだと考えさせられるいい機会なのかもしれません。
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