京都東山に溶け込む大正ロマン、武田五一の傑作「五龍閣」特別公開へ

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五龍閣
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“京都はんなりずむ”を訪れて頂きありがとうございます。

京都在住のブロガーKyotaroです。

京都には数多くの歴史的建造物がありますが、今回は東山・清水坂のすぐ傍らに佇む名建築「五龍閣」の特別公開へ行って来ました!

普段は1階部分がカフェとして活用されているものの、2階や3階、最上階「望楼」に至る建物内部は通常非公開の施設です。

今回はその貴重な建築内部の特別公開という絶好の機会に恵まれ、すみずみまでじっくりと見学することができました。

五龍閣の建築美、歴史的背景、数年前の台風で起こった風見鶏のエピソードまで、その魅力を余すところなくたっぷりとご紹介します。

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最上階の望楼から1階CAFE五龍閣まで、五龍閣の見どころ

五龍閣

五龍閣の最大の魅力は、外観のダイナミックな造形美と内部に凝縮された「大正ロマン」の美意識、そして伝統的な職人技の融合にあります。

上層階から順に見どころを紐解いていきましょう。

360度の絶景が広がる「最上階・望楼」

寺社建築に見られる「鴟尾」(望楼より)

今回の特別公開で最も感動的だったのが、建物の最頂部に位置する「望楼」です。

3階からさらに伸びる細く急な階段を登り切ると、四方がガラス窓で囲まれた小さな小部屋が現れます。

五龍閣・望楼より京都タワー、西山連山を一望

ここから広がるのは、まさに東山から京都を一望する360度のパノラマビュー!

すぐ目と鼻の先には清水寺の境内の木々や「法観寺・八坂の塔」が聳え立ち、京都市街地の街並みが遠くまで見渡せます。

清水の舞台と同じ目線で京都を一望

標高と建物の高さが絶妙に計算されており、清水寺の舞台とほぼ同じ目線の高さから京都を眺めるという、かつての施主や迎賓客だけが享受できた特別すぎる贅沢感をここでは味わうことができます。

※周辺地域への配慮から、東向き(清水寺方向)の写真撮影は一切禁止。

【こぼれ話】シンボル「風見鶏」のゆくえ

3階に展示される壊れた風見鶏の現在

この望楼の屋根のてっぺんには、かつて五龍閣のシンボルとして「風見鶏」が飾られていました。

しかし、数年前の大型台風の強風によって、なんと屋根から吹き飛んでしまうというアクシデントが発生!

幸いにも現物は回収されており、周辺地域への被害もなく、今回訪ねた時は屋根の上ではなく安全な建物内3階で大切に保管・展示されていました。

空を仰ぐ姿ではなくなりましたが、間近でその歴史を物語る風見鶏を拝むことができるのも、今回の特別公開における密かな注目ポイントです。

五龍閣2・3階のモダニズムと職人技

五龍閣3階

望楼から降り、2階・3階へと足を運ぶと、そこにはヨーロッパの最先端デザインと日本の美意識が融合した空間が広がっています。

一見すると重厚な石造りの洋館に見える五龍閣ですが、実は木造建築というからとても驚かされました。

五龍閣・3階アーチ窓

設計を手掛けた建築家・武田五一は、当時ヨーロッパで最先端であった「セセッション様式」や「アール・ヌーヴォー」の影響を色濃く残すモダンな構造を取り入れつつ、寺社仏閣を建てる「宮大工」の手にこの建築を委ねたといいます。

五龍閣・全景

外壁の柱や梁を石調に見せる「人造石洗い出し」の技法や、中国由来の雷紋(らいもん)を取り入れたイオニア式風の付柱、屋根に載せられた瓦や寺社建築に見られる「鴟尾(しび)」など、洋風をベースに和やアジアンテイストの伝統意匠が巧みに組み込まれています。

1階から眺める階段室

また、階段室やサンルームに配された直線と曲線の調和が美しいステンドグラス、繊細なデザインの欄間窓もアール・ヌーヴォーの流れを感じさせる見事な意匠です。

下に支える柱がない階段

窓越しに差し込むやわらかな光が木製の廊下や調度品を照らし、東山の豊かな自然景観を壊すことなく調和させる設計の工夫を至る所で体感できました。

レトロな温もりに包まれる「CAFE五龍閣」

CAFE五龍閣

上層階の見学を終えて辿り着く1階は、現在カフェとして一般営業されている空間です。

現在は靴のまま入れるCAFE五龍閣

CAFE五龍閣

入り口から靴を履いたままスムーズに入店できるスタイルになっており、大正期の邸宅が持つクラシカルな雰囲気を気軽かつ身近に感じることができます。

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充分に雰囲気を満喫できるCAFE五龍閣

CAFE五龍閣・アーチ型の木製サッシ窓

重厚な洋館でありながらも、どこかほっと落ち着く居心地の良さが漂っており、建築見学の余韻に浸りながらお茶をいただくにはこれ以上ない空間となっています。

豆乳抹茶

今回、Kyotaroは豆乳抹茶を頂きました。

五龍閣の歴史と現在(運営会社など)について

清水寺 順正 五龍閣

五龍閣、これほどまでに凝った建築がなぜこの清水の地に建てられたのか、その歴史と現在の成り立ちについても深く掘り下げてみたいと思います。

詳しく見ていきましょう。

誕生の歴史と施主・松風嘉定(まつかぜかじょう)

五龍閣・2階

五龍閣は、1921年(大正10)頃に建設されました。

五龍閣

設計を担当したのは「関西近代建築の父」と称される名建築家・武田五一(たけだ ごいち)です。

そして、この贅を尽くした邸宅の施主となったのが、実業家の三代目・松風嘉定です。

松風家はもともと京都の伝統産業である清水焼の窯元でしたが、三代目嘉定は陶芸の技術を工業へと展開させ、高圧碍子(がいし)や義歯(人工歯)の製造で成功を収めました。

現在も人工歯などで世界的に知られる歯科材料メーカー「株式会社松風(京都市伏見区)」の基礎を築いた人物です。

当時の五龍閣は、松風家の邸宅の「洋館(迎賓館)」部分として建てられたもので、かつては隣接する和館と接続されていました。

政財界の要人を招くゲストハウスとして活用され、大正時代の一大イベントであった「東山大茶会」の会場としても使われるなど、京都の近代化と文化交流の象徴的な場所でした。

清水順正 おかべ家による継承と「現在」

外観は洋館でも急角度な屋根瓦は見事

時代の移り変わりとともに建築の役割も変化し、現在は京都市の登録有形文化財・景観重要建造物に指定されています。

現在、この貴重な五龍閣を所有・運営しているのは、京都の湯豆腐の名店として知られる「清水順正 おかべ家」です。

同社は歴史的建造物の保存と活用に大変力を入れており、五龍閣の創建当時の趣を壊すことなく丁寧に維持・管理しながら、1階部分を「CAFE五龍閣(旧・夢二カフェ五龍閣)」として一般営業しています。

大正時代の産業界の気概と武田五一の美学が、現代の京都の老舗企業の手に引き継がれ、現代において大切に守られているんですね。

五龍閣の詳細(アクセス、見学条件、見学時間など)について

「五龍閣に行ってみたい!」という方のために、見学に関する重要情報とアクセスをまとめました。

【重要】見学条件に付いて:通常非公開

2階・3階・望楼は通常非公開です。

※見学したい場合は「京都モダン建築祭」や建築ツアー、京都市の特別公開企画(京の夏の旅2026)などのイベント開催時に事前予約・お申し込みの上で訪問する必要があります。

また、1階は「CAFE五龍閣」として一般営業されているため、カフェ利用の際には1階のレトロな店内空間を楽しむことができます。

●CAFE五龍閣
TEL:075-541-7111
〒605-0862 京都府京都市東山区清水寺門前2丁目239(清水順正 おかべ家 敷地内)
◆営業時間 11:00〜17:00(L.O. 16:30頃)
※時期やイベントによって「13:00〜17:00」などに変動する可能性があるため、必ずお出かけ前に公式HPや電話での確認をおすすめします。
◆定休日  不定休
◆アクセス 京都駅からは206系統・100系統など / 阪急河原町駅・京阪祇園四条駅からは207系統など
・市バス「五条坂」または「清水道」バス停下車、徒歩約10分
・京阪電鉄「清水五条駅」下車、徒歩約25分、「祇園四条駅」下車、徒歩約20分
◆駐車場  なし※周辺コインパーク、市営駐車場を利用。


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まとめ

今回、五龍閣の特別公開で最上階の望楼まで足を踏み入れ、武田五一が仕掛けた空間美を体感することができました。

清水坂という京都屈指の歴史ある景観の中で、ただ主張するだけの洋館を建てるのではなく、瓦屋根や木造の温もり、日本の気候や東山の山並みに寄り添うような「和洋折衷の優しさ」を持たせた五龍閣。

望楼への急階段

それは、京都の伝統産業から近代産業へ挑んだ松風嘉定の進取の気性と、建築家・武田五一の深い京都への愛が結実した最高の大正ロマン建築でした。

数年前の台風で飛ばされた風見鶏のエピソードも含め、この建物が歩んできた100年余りの歴史のストーリーを知ると、ひとつひとつの装飾や風景がより一層愛おしく思えます。

普段の上層階公開は限られていますが、1階のCAFE五龍閣だけでも大正ロマンの風情を十分に感じることができます。

清水寺周辺をお散歩される際は、ぜひ足を運んで、京都が誇る近代建築のぬくもりにあなたも触れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

京都市在住、念願の京都に1戸建て住宅を新築購入した既婚の55歳、フツーの会社員からフリーランスに転身。子供は3人で男ー女ー男の“二太郎+一姫”。将来は奥さんと京都でお洒落なカフェを営むことができればいいな、とささやかな夢を持っています。どうぞよろしくお願いします。

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