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京都在住のブロガーKyotaroです。
今回は京都市伏見区にある石峰寺(せきほうじ)の紹介です。
ここは京都を代表する江戸中期の画家といわれた「伊藤若冲」ゆかりの寺院で晩年は石峰寺の前に草庵があり、ここで85年の生涯に幕を閉じました。
9月10日は伊藤若冲の命日で毎年、命日法要「若冲忌」前に公開される「石峰寺伊藤若冲顕彰会特別展」に行って来た時の様子を紹介します。
石峰寺(せきほうじ)の見どころは五百羅漢と若冲の墓所
石峰寺は京都市伏見区にある寺院で正式名称を百丈山石峰寺といい、黄檗宗第六世賜紫・千呆性侒禅師によって建立された禅道場が始まりと云われています。
1788年(天明8)におこった「天明の大火」で伊藤若冲は家をはじめ私財を失うこととなり、石峰寺の門前に居を構え、親交のあった石峰寺7代住職の密山和尚の協力のもと十余年をかけて石峰寺の裏山に五百羅漢を制作したのは有名な話です。
ここでは石峰寺(せきほうじ)境内の見どころについて紹介します。
石峰寺にある伊藤若冲のお墓
石峰寺は寺院としては本堂と墓地が隣接する小さなお寺ですが、見どころはなんといっても伊藤若冲が眠るお墓が境内にある点です。
毎年9月10日の伊藤若冲命日には「若冲忌」という命日法要がとり行われ、9月上旬より石峰寺に収蔵されている伊藤若冲の作品が方丈にて一般公開され、多くの若冲ファンが訪れます。
本堂の南側に位置する墓所の高台に伊藤若冲の墓があり、看板があるのですぐに場所は特定できます。
お墓の横に円柱の石碑があるのですが、こちらは伊藤若冲が生前に枡源7代目の清房に遺言を残して建てさせたという石碑で筆の形を模した石碑と云われます。
碑文を書いたのは幕末三筆の異名をもつ「貫名海屋(ぬきなかいおく)」と云われており、1830年(文政13)に起こった地震によって一度倒壊してしまうのですが、枡源7代目清房の孫が修理、建て直します。
後に菘翁が由来を墓表に刻み、「天保4年」の文字が刻まれているのがわかります。
Kyotaroも伊藤若冲先生のお墓の前で手を併せてきました。
伊藤若冲のお墓は境内の高台に建っており、振り返ると伏見深草の街並み、京都市街、そして嵐山から大阪の天王山まで西山連山を眺めることができます。
伊藤若冲ゆかりの五百羅漢を拝観へ
続いて石峰寺の最大の見どころはなんといっても本堂の裏山に佇む五百羅漢像です。
現在、五百羅漢像は写真撮影が禁止のため、写真画像はありませんが、実際に訪ねてみた様子をお伝えしようと思います(※写真は石峰寺パンフレット)。
9月上旬の「若冲忌」に訪れる頃はまだ残暑も厳しく、結構なやぶ蚊が飛んでいますのでこの時期に行かれる際は、虫よけスプレー必須なのでお伝えしておきます。
順路に沿って進んでいくと山門と同じく、黄檗宗独特の楼門が姿を現し、そこから先の石段を上がっていくと五百羅漢像が安置される場所へ行くことができます。
御本尊の釈迦如来に由来して「お釈迦様の一生」を表現する立て看板があり、エリアごとに個性豊かな様々な表情をした五百羅漢像を拝観することができます。
お釈迦様の一生とは以下の通りです。※写真撮影禁止のため画像はなし
1.誕生仏
お釈迦さまが生誕された際の様子が表現された羅漢像が安置されています。
2.出山の釈迦
6年間もの修行のあと、悟りの境地をもとめ雪山を出るお釈迦様の様子を数体の羅漢像とともに表現されています。
3.十八羅漢
十八体の羅漢像が乱立する様子は圧巻です。
4.説法場
お釈迦様が悟りをひらき、初めて説法を行った様子が表現されています。
5.托鉢修行
一切の禁欲を命じられて托鉢によって浄財を集めて生き抜くという、過酷な修行の日々を表現しているエリアです。
6.涅槃場
涅槃と書いて「ねはん」と読み、お釈迦様の入滅を意味します。
自らの死を悟ったお釈迦様が弟子たちに最後の説法を行う様子を表現しています。
横たわってる羅漢像が涅槃を表現しているのでしょうか?
7.賽の河原
入滅した後のお釈迦様が表現されており、いわゆる「三途の川岸」までやってきたということでしょうか。
以上、7つのエリアにある羅漢像がそれぞれお釈迦様の一生を表現している五百羅漢像。
実際にあるのは四百体ほどで百体は東京の椿山荘庭園なのどに移送されていったそうでそちらで現在も拝観することができます。
若冲忌と掛け軸の特別公開「若冲顕彰会特別展」
さて9月10日が伊藤若冲の命日であることはすでに紹介の通りですが、毎年9月10日は石峰寺にて伊藤若冲の命日法要「若冲忌」が11時より本堂で執り行われます。
一般の参拝者も焼香ができますのでこの日は普段の静かな石峰寺とはうって変わって多くの参拝者が訪れ、境内が賑わいます。
本堂での法要の後は、場所を若冲の墓前に移して法要が引き続き行われる、という流れになります。
墓前に供えられるお供えに注目してほしいのですが、若冲がお釈迦様の入滅の涅槃の様子を野菜や果物で描いたという代表作「果蔬涅槃図(かそねはんず)」を模したお供え物が実際に供えられます。
大根が中心にまるごと乗っているカラフルで豪快なお供え物ですが、すぐに撤収されてしまうのでチャンスを逃さず、ぜひ注目してみて下さい。
墓前でも一般の方の焼香がさせて頂けますので少し並ぶことになると思いますが、ぜひ伊藤若冲先生の墓前で焼香しましょう。
また、普段非公開の方丈では「若冲忌」にあわせて掛け軸の特別公開「若冲顕彰会特別展」が行われ、石峰寺に収蔵されている伊藤若冲による十数点の掛け軸が特別に公開されます。
こちらも写真撮影は一切禁止のため、画像はありませんが、寅、鶏、ソテツ、葡萄、墨梅など伊藤若冲特有の絵が描かれた掛け軸を間近に観賞することができます。
方丈内では御朱印の受付もしておられます。
石峰寺は伏見稲荷の千本鳥居から徒歩圏内
石峰寺の最寄り駅は京阪電車の深草龍谷大学前駅から歩いて5分の距離です。
龍谷大学深草キャンパスとは駅を挟んで逆方向になります。
また、すぐ近くには有名な伏見稲荷大社、稲荷山があり、特に海外からの観光客にも大人気の「千本鳥居」入口から歩いて5分の距離にあります。
案外知られていないのでぜひ、石峰寺とともに伏見稲荷大社も参拝してみては如何でしょうか?
裏技ですが、Kyotaroは伏見稲荷大社まで車で行き(駐車場参拝者無料)、伏見稲荷本殿、そして稲荷山まで参拝してからささっと石峰寺を参拝することもあります。
伏見稲荷大社が京阪電車の伏見稲荷駅から歩いて5分くらいなので最寄り駅だけ見ると、ひと駅離れているのですが、駅間が比較的距離の短い区間となるので既述の通り、千本鳥居入口から石峰寺は5分くらいで移動できます。
千本鳥居から石峰寺へ行く途中にある、「ぬりこべ地蔵」もお参りすると良いでしょう。
以上、石峰寺の周辺観光、アクセスの紹介でした。
石峰寺へのアクセスと駐車場について
●百丈山石峰寺(せきほうじ)
TEL:075-641-0792
〒612-0883 京都府京都市伏見区深草石峰寺山町26
■拝観料金 一般500円 小人300円
※若冲顕彰会特別展拝観の場合 一般1,000円 大学高校生700円 中学生以下無料
■拝観時間 9:00~16:00
■アクセス
・京阪電鉄「深草龍谷大学前駅」下車、徒歩5分
・JR奈良線「稲荷駅」下車、徒歩10分
■駐車場 なし ※周辺コインパークを利用
まとめ
京都を代表する江戸時代中期に活躍した伊藤若冲ゆかりの石峰寺(せきほうじ)の紹介でした。
9月10日が伊藤若冲の命日ということで命日法要「若冲忌」が毎年境内の本堂、そして墓前にて行われ、一般参拝者も焼香に参加できます。
本堂裏にある五百羅漢は必見でお釈迦様の一生を五百羅漢像で表現しており、様々な表情をした羅漢像を見ることができ、異世界へと足を踏み入れたようなそんな空間が広がります。
「若冲忌」とあわせて期間限定で特別公開展示される伊藤若冲の掛け軸は、この機会にしか見ることができない、石峰寺に収蔵される作品なのでぜひ、この時期に訪れてみて頂きたいと思います。
アクセスも比較的わかりやすく、伏見稲荷の千本鳥居まで歩いて5分の距離にあり、すぐ近くに京都を代表するスポットもあるので併せて観光してみては如何でしょうか。
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