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京都在住のブロガーKyotaroです。
10月になると京都各地の寺院では「秋の特別公開」が開催されます。
京都紫野の大徳寺には数多くの塔頭寺院があり、通常非公開の寺院を特別拝観できるチャンスです。
今回はようやく秋らしくなってきた10月最初の土曜日に大徳寺塔頭の興臨院と黄梅院の特別公開を拝観してきました。
詳しく見どころを紹介していきましょう。
大徳寺興臨院、2023秋の特別公開と見どころ
大徳寺「興臨院」秋の特別公開が2023年9月2日(土)~24日(日)、9月30日(土)~12月17日(日)までの長期間で開催されています。
大徳寺の広大な敷地内の中央に位置し、寺院そのものが通常非公開なので特別何かを御開帳するというものではありませんが、見どころポイントを紹介していきましょう。
比較的小さな寺院で人が少なければ方丈前庭でのんびり日向ぼっこをするのがおすすめです。
興臨院は写真撮影OK
「興臨院」では写真撮影は庭園など建物外であれば可能です。
但し、方丈(本堂)内部や茶室の中は一切、写真撮影ができませんので注意しましょう。
表門
「興臨院」の表門はとてもシンプルな印象です。
その見た目とは裏腹に大徳寺内では最古級の門の一つに数えられており、その様子を伺い知ることができるのが、檜皮葺の屋根部分。
シンプルな印象を受けた要因でもある平唐門となっており、その歴の古さから国の重要文化財にも指定されています。
唐門
表門を入ると正面に見えるのが唐門でよく見る「唐門」と違ってやや小さな門構えとなっています。
興臨院の玄関にあたり、檜皮葺の門で室町時代の禅宗建築様式の特徴を見ることができます。
表門と同じく国の重要文化財に指定されています。
方丈(本堂)
寺院の本堂にあたる「方丈」は、室町時代の建築様式の特徴をみせる入母屋造・檜皮葺が白砂の方丈前庭園に映える建物になっています。
日本最初と云われる床の間があり、かつては狩野元信や土佐光信などの障壁画が飾られていましたが幕末から明治維新の混乱期に失われ、現在は襖絵のすべてが水墨画家、村石米齋によって描かれたものになっています。
方丈(本堂)の屋根は加賀藩の藩祖、前田利家によって修復されたもので、その縁から前田家の菩提寺となっています。
方丈前庭
白砂の見事な枯山水庭園で秋空と方丈の屋根との相性が抜群の庭園です。
現在の庭園は“昭和の小堀遠州”と呼ばれた中根金作氏により1978年に復元されたものです。
白砂に石組を配し、理想的な蓬莱世界を表しており、のんびり方丈前に座って枯山水庭園を眺めることもできます。
写真撮影のポイントは、唐門の方に降りて方丈と庭園を西向きに撮影すると晴れの日には秋空に映える写真が撮れますよ。
方丈西庭
入り口から方丈を奥に進んでいったところ、方丈西側にも庭園が広がります。
西庭には爪塚、琴心塔、鎮守社があります。
方丈北庭
西庭からさらに奥に進んでいった方丈の裏側にあたる庭園が「方丈北庭」です。
一面、絨毯のように緑苔が敷き詰められた見事な庭園で一面白砂の「方丈前庭」とは対照的な印象を受けました。
楓の木々が多く、訪ねた際には青もみじが眩しかったのですが、晩秋には美しい紅葉が楽しめます。
茶室「涵虚亭(かんきょてい)」
茶室「涵虚亭(かんきょてい)」は内部が写真撮影禁止のため、外観の写真のみです。
最大の特徴は洞床(ほらどこ)と呼ばれる床の間で袖壁が出ているために洞のように見えることからその名が付けられました。
茶室内部でもその様子は陰になって見えないので、茶室前に写真が展示してあります。
「涵虚亭(かんきょてい)」という名称は蘇軾の詩から名付けられた古田織部好みの四畳台目に隅板を加えた茶室で 1928年(昭和3年)に広島出身の実業家・山口玄洞による寄進です。
大徳寺黄梅院、2023秋の特別公開3つの見どころ
大徳寺「黄梅院」は織田信長が創建し、豊臣秀吉が増築したとされる戦国大名にゆかりのある寺院です。
大徳寺塔頭は戦国武士にゆかりのある寺院が多いのは確かで黄梅院はその代表格の寺院。
驚きは茶聖とよばれた千利休が作庭したという庭園や千利休茶道の師である武野紹鴎好みの茶室が境内にあることです。
本堂前庭園に込められた想いとともに3つの見どころとして紹介させて頂きます。
黄梅院は写真撮影一切NG
「黄梅院」は境内の写真撮影が一切禁止となっています。
建物内部は当然、敷地内にある庭園もすべて撮影禁止です。
代わりに各庭園や庫裏に案内ガイドの方が常駐しておられるのでその説明の内容を紹介します。
気になるあなたはぜひ、黄梅院へ足を運んでみて下さい。
表門
なだらかな兜型の門で現在のものは2005年(平成17)に修復されたものです。
門の向こう側に広がる青もみじが美しく、まるで幻想の世界に吸い込まれるかのような感覚になり、このあとの境内拝観への期待感が高鳴ります。
表門入ってすぐの参道付近では晩秋の紅葉期には絶景が広がることが安易に想像できます。
鐘楼
鐘楼の鐘は1592年に加藤清正公から寄進された朝鮮伝来のものと云われています。
現在の鐘楼は益田玄播守によって建立、獅子頭の彫刻が特徴で表門と同じく2005年(平成17)に修復されました。
庫裏
表門を入った正面の建物が庫裏でお寺でいう台所がある、生活拠点となる建物。
切妻造板葺で火番寮、典座寮、納所寮、知客寮、旦過寮というそれぞれの寮舎があり、禅宗寺院の生活様式を現代に伝えている貴重な建物です。
庫裏としては日本に現存する最古のもので火災を起こしやすい古式の庫裏として貴重な遺構。
1985年(昭和60)に解体修理が行われ、とても綺麗な庫裏で日本最古とは程遠い内観、という印象を受けました。
大きな竈門が当時の面影を残していました。
直中庭(じきちゅうてい)
境内に入って最初に見えてくるのが「直中庭」です。
茶聖と呼ばれた千利休が66歳の時に作庭した庭と云われています。
特徴は豊臣秀吉公の希望で軍旗瓢箪をかたどった空池を中心に不動三尊石を正面に配し、加藤清正が朝鮮から持ち帰った灯篭を左に配した一面に緑苔が広がる広大な枯山水庭園。
中央の瓢箪を象った池には水はなく、結構な窪みがそのまま庭園中央に広がります。
枯山水庭園としてかなりインパクトを受けた庭園で晩秋には紅葉が美しい絶景ビュースポットになります。
破頭庭(はとうてい)
本堂前に広がる「破頭庭」は手前に白川砂、半分向かいを桂石で区切り苔を配している庭園です。
正面の石はお釈迦さまとその前にひれ伏す人、沙羅双樹の前にある平石はお釈迦さまを沙羅双樹に見立て、そのまえに拝む人を表す巨石が配置されています。
庭園本堂側手前には横まっすぐにひかれた白川沙の横線に対する波紋が描かれており、川から流れ出た水が描く波紋を表しています。
茶室「昨夢軒(さくむけん)」
「昨夢軒」は千利休の師「武野紹鴎」好みと伝わる4畳半の茶室。
現在は書院「自休軒」に組み込まれているが、元は独立した建物で境内東南側にあったとものを書院建立時に移築したと云われています。
大徳寺へのアクセスと駐車場について
●大徳寺塔頭寺院
・興臨院 TEL:075-491-7636
・黄梅院 TEL:075-231-7015
TEL:075-491-0019(大徳寺)
〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町53
■拝観時間 10:00?16:30(16時受付終了)
■拝観料金 (総見院を含めた三ケ寺共通券1,700円あり)
・興臨院 大人600円 中高生400円 小学生400円
・黄梅院 大人800円
■アクセス 京都駅から地下鉄と市バスを乗継
・京都市営地下鉄烏丸線、「北大路駅」下車、市バスで5分
・市バス/「大徳寺前」下車、北西へ200m正門入る西南角
■駐車場 有料駐車場あり
(普通車50台、2時間まで500円、以後30分毎に100円)
※近隣の「風良都ぱーく36」は60分100円なので2時間滞在でも200円でOK
まとめ
今回は秋の京都特別公開のなかから大徳寺塔頭寺院「興臨院」「黄梅院」を紹介させて頂きました。
境内での写真撮影は「興臨院」は庭園など建物内部以外は一部OK、「黄梅院」は全面禁止となっています。
秋の京都は観光客も多い、という印象をもたれるかもしれませんが、少し時間をずらすだけで見事な庭園の空間を独り占めできたりすることもあります。
黄梅院では写真撮影ができませんでしたが、千利休が作庭した庭園があり、お茶の世界以外にも庭師としての創造性も持ち合わせていたり、その千利休のお茶の師の存在など個人的にとても学びのある拝観となりました。
今回紹介したふたつの塔頭寺院はぜひ、その目で見て直接、何かを感じて頂きたい寺院です。
秋のシーズン、京都へお越しの際にぜひお立ち寄り下さい。
※ちなみにKyotaroは9年前に訪れた大徳寺高桐院の拝観受け入れ再開(2023年10月7日現在、拝観休止中)を待ち遠しく感じてるひとりです。
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