天ケ瀬ダムは宇治橋から歩いて行こう、駐車場や見学、歴史について

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京都在住のブロガーKyotaroです。

あなたは「ダムカード」って知っていますか?

全国のダムを訪れると貰える、各地のダムを紹介したカードのことで“ダムマニア”なら誰もが知っていてコレクションしてるカードです。

今回は京都府宇治市、宇治川上流にある「天ケ瀬ダム」まで歩いて行ってきた時の様子を紹介します。

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天ケ瀬ダムの行き方は?駐車場はあるの?施設見学は?

先日、季節外れの夏日の中、宇治橋すぐの京阪電車「宇治駅」から歩いて宇治川上流にある「天ケ瀬ダム」まで歩いて行って来ました。

そもそも天ケ瀬ダムへ行くにはどうしたらいいのか?そのわかりやすい答えが“宇治橋から川沿いに歩いて行く”ことです。

所要時間は約40分、歩くのが早い人でも30分はかかると思っておいていいでしょう。

天ケ瀬ダムへのアクセス

天ケ瀬ダムの最寄り駅は京阪電車「宇治駅」又は京都駅から出発しているJR奈良線の「宇治駅」となり、徒歩でそれぞれ京阪宇治駅から約35分、JR宇治駅からだと45分の所要時間となります。

そう、宇治橋がある宇治商店街界隈からは歩いて行くしかないんですね。

あとは駅からタクシーで行く方法もあり、15分くらいでいけるのですが、天ケ瀬ダムでタクシーを放してしまうと今度は帰りが結構、大変ということになります。

よって天ケ瀬ダムへ行くときは、宇治川の清流沿いをハイキングする気分で景色を楽しみながら約40分歩くことをおすすめします。

途中、宇治神社、興聖寺など神社仏閣や源氏物語「宇治十帖」石碑、宇治川の中州「塔の島」を楽しむことができたり、宇治川を渡る「天ケ瀬吊り橋」を楽しむことができます。

天ケ瀬ダムに駐車場はあるのか?

天ケ瀬ダムには駐車場がありませんので車で行くことはおすすめできません。

山の中なので周辺にコインパークもありませんので、駐車場難民になって結局、宇治川周辺まで戻って駐車場を探すことになり、大きく時間ロスしてしまうだけです。

先に紹介の通り、宇治川沿いに歩いて行くのがベストルートです。

天ケ瀬ダムは施設見学ができるのか?

天ケ瀬ダムは1年365日、ダムの上を歩いて渡ることができ、入場後すぐの場所にあるモニュメント、休憩スペースでは天ケ瀬ダムの紹介映像も見ることができます。

観光施設ではなく、現役で活躍してるダムなので工事など見学できない日もあるので訪問する際は必ずHPで確認してから出かけるようにしましょう。

見学時間は朝8時から夕方4時45分までとなっており、入場の際の人数、代表者の氏名を記入すると入ることができます。

ダムカードはこの受付で配布しておられるのでそこで入手できます。

今回は2種類のダムカード(通常の天ケ瀬ダムカード、トンネル式放流設備完成ダムカード)に加えて天ケ瀬ダム60周年を記念して配布される「記念ダムカード」も頂くことができました。

アーチ形のダムの上から宇治川下流域、志津川発電所、上流域に見えるダム湖「鳳凰湖」を眺めることができます。

入場入口からアーチ式のダムの上を歩いて反対側の展望台まで行くと天ケ瀬ダムの美しいアーチを描く全体像を眺望することができます。

天ケ瀬ダムの紹介とその歴史について

続いて天ケ瀬ダムについて紹介していきましょう。

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天ケ瀬ダムのデータ

場所は京都府宇治市の淀川水系淀川(宇治川)にあり、本体着工が1961年(昭和36)で完成が1964年(昭和39)のドーム型アーチ式コンクリートダムで堤高73m、堤頂長が254mあり、総貯水量が2,628万㎡あり、国土交通省が管理しています。

また、2023年には淀川、宇治川の洪水被害軽減、新たな水道用水の確保、発電能力の増強を図ることを目的に既設の天ケ瀬ダムの放流能力を増強する事業「トンネル式放流設備」が完成しました。

流れる水の勢いを弱める減勢池部に新設された水路トンネル径は幅23m、高さ26mと「日本最大級」の規模を誇ります。

天ケ瀬ダムの放水ゲートについて

天ケ瀬ダムには通常放水時に使用される「コンジット高圧ローラゲート」が3門あり、予備ゲートとして「高圧キャタピラゲート」が3門あります。

自然災害発生時など放水量が「コンジット高圧ローラゲート」や予備ゲートでは追いつかない非常事態時にはダム最上部にある「クレスト ラジアルゲート」4門も開放して放水する仕組みになっています。

最上部にあるこの「クレスト ラジアルゲート」を使用したのは2024年(令和6)4月現在で試験放水の3回と2013年(平成25)9月の台風18号が関西直撃した際の1回のみです。

2013年(平成25)9月の台風18号襲来の際、天ケ瀬ダムは宇治の街をはじめ、下流域のすべての人々を災害から守るために大活躍していたんですね。

天ケ瀬ダムの歴史、大峰ダムはなぜなくなったのか?

京都府宇治市に天ケ瀬ダムが建設されるまでは、宇治川上流域、現在の天ケ瀬ダムがあるさらに3㎞上流域に大峰ダムというダムがありました。

当時は下流域右岸の志津川発電所、そして直下にあった大峰発電所で関西電力が発電を行っていました。

すでに大峰ダムがあったのにもかかわらず、なぜ「天ケ瀬ダム」を新たに建設する必要があったのでしょうか?建設のきっかけとなる出来事が1953年(昭和28)に起こります。

昭和28年に関西を直撃した台風13号の被害は甚大で淀川に大洪水をもたらします。

淀川の基準地点となる枚方では計画高水流量基準値6,950㎡/sをはるかに上回る8,650㎡/sもの水流量を記録、宇治川向島では堤防が決壊し、埋め立てたはずの巨椋池が再び現れたのか?というくらいの洪水被害をもたらしたのです。

この災害をきっかけに“今のままではいけない、淀川水系の治水計画を大幅に見直さなければいけない”という危機感から1954年(昭和28)に淀川水系改修基本計画を決定、新たに強固な「天ケ瀬ダム」を宇治川に架ける必要があるという結論に至ったのです。

その結果、1960年(昭和34)に「洪水を防ぐ」「電気を作る」「飲み水を供給する」という3つの目的のもと「天ケ瀬ダム」の建設が着工され、1964年(昭和39)に完成し、大峰ダムは現在のダム湖である「鳳凰湖」の底に沈んでしまい、その役目を終えたのです。

天ケ瀬ダムの歴史には京阪電車の苦難の歴史が重なる?

関西を代表する私鉄の「京阪電車」は京都の五条から大阪の天満橋間(46.57㎞)を結ぶ電鉄として1910年(明治43)開業しました。

のちに中書島から宇治へと向かう宇治線が開業し、観光地としての宇治発展に大きく貢献してきた歴史があります。

現在の特急電車は結構、止まる駅の数も増えましたが、当時の京阪特急といえば京都七条を出た後は、大阪京橋まで止まらなかったほど中間駅をすべてすっ飛ばして運行してました。

でもその京阪特急がはじめて中間地点で止まった最初の駅が「中書島」だったことは衝撃の事実として現在も語り継がれ、その決断はすべて観光都市としての宇治発展のため以外何ものでもなかったのです。

京阪電鉄の野望と苦難

当時の京阪電鉄には大阪から京都の山科を経由して滋賀県膳所へと進出、膳所から名古屋金山まで「名古屋急行」を繋ぐという大きな事業計画があったのです。

現在の阪急京都線、阪急桂駅から分岐する嵐山線はもともと京阪電鉄が新京阪鉄道として走らせた路線であり、そして西向日駅から京都市内を横断して山科へと向かう「山科線」の計画もあったそうです。

のちこれら計画は当時の世界恐慌によってすべて頓挫してしまい、せっかく走らせた現・阪急京都線も赤字が続く中、阪神間で大きく収益をあげていた阪急電鉄に新京阪鉄道の大阪梅田から京都河原町、そして嵐山線の事業を譲渡することになり、京都嵐山にかけた夢を諦めることになります。

宇治に架けた京阪電鉄の思い

そんな京阪電鉄が力を注いだのが観光地としての宇治発展の夢なのです。

天ケ瀬ダムが完成する前の時代は、塔の島から志津川発電所までをプロペラ船で宇治川を遡り、志津川発電所からは「おとぎ電車」を走らせ大峰ダムまで、さらに上流、大峰ダム湖を遊覧船が航行し大津市外畑まで、そこからバスで石山まで向かう宇治川ライン観光ルートが敷かれていたのです。

「おとぎ電車」はもともとこの地で電力開発を行っていた宇治川電氣株式会社が社員や資材搬送のため造った約9.6㎞の鉄路を京阪電鉄が用地や線路を借りてはじめたのがきっかけです。

当時、京阪電鉄は「宇治川遊園地」や「おとぎ電車」を目玉として観光誘致に力を入れ、「おとぎ電車」を一日二十八往復させ、年間16万人を超える盛況ぶりだったのですが、のちの「天ケ瀬ダム」建設とともに「おとぎ電車」もダム湖に沈む形となったのです。

世界恐慌とともについえた京阪電鉄の名古屋に向けた壮大な野望に続き、宇治発展のために情熱を降り注いだ「おとぎ電車」の夢も終焉を迎える京阪電鉄の悲しい歴史とともに紹介させて頂きました。

天ケ瀬ダムへのアクセスと駐車場について

●天ケ瀬ダム(淀川ダム統合管理事務所/大阪府枚方市)
TEL:0774-22-2188
〒611-0021 京都府宇治市宇治金井戸15
■入場時間 8:00~16:45
■見学期間 通年
※工事等で堤体の通行に支障がある場合は入場できません。
■アクセス
・JR奈良線「宇治駅」下車、徒歩約45分(3.8km)
・京阪宇治線「宇治駅」下車、徒歩約35分(3.3km)
・JR奈良線「宇治駅」からタクシーで約15分
・京阪宇治線「宇治駅」からタクシーで約10分
■駐車場  なし ※注意!コインパークも周辺なし


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まとめ

今回は源氏物語のまちとして知られる京都宇治にある「天ケ瀬ダム」の紹介をさせて頂きました。

アクセスが宇治橋から歩いて行くのがメインアクセスとなり、車でのアクセスは一切できないのがネックですが、宇治川沿いを歩くこと約40分で辿り着けてしまうのがせめてもの救いです。

自然豊かな宇治川沿いの景観を楽しみ、下流域には有名な神社仏閣が散在するエリアなのでぜひハイキングを兼ねて歩いてもらいたいエリアです。

どうしても歩くのがダメなあなたは、京阪宇治駅、又はJR宇治駅からタクシーを利用していく方法もありますが、最寄り駅は京阪宇治駅、次にJR宇治駅ということになります。

まだまだ観光地化されていないダムなので比較的ひとも少なく、のんびり観光できるのも魅力ですね。

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