京都在住のブロガーKyotaroです。
京都の神社には狛犬ならぬ“狛●”がお出迎えしてくれる神社がたくさんあります。
●に入るのは当然ながら動物なのですが、“狐”“兎”“鹿”“獅子”など色々な日本の獣が当てはまることが多いようです。
今回紹介する護王神社は“足腰の守護神”として神社に参ると“猪”がお出迎えしてくれます。
そう“狛犬”ならぬ“狛猪”なんです。詳しく見ていきましょう。
なぜ護王神社は“狛猪”と“足腰の守護神”で有名なのか?
護王神社に行くと狛猪が出迎えてくれ、神社をお参りすることで足腰のご利益を授かることができます。
なぜ?狛犬ではなく、狛猪なのか?なぜ?足腰の悩みに対してご利益があるのか?神社の御祭神と御由緒について見ていきましょう。
護王神社の御祭神と御由緒
護王神社の御祭神は平安京建都に貢献、活躍した和気清麻呂公をお祀りしています。
創建の年代は不明ですが、京都高雄山の神護寺境内に和気公霊社として祀られていましたが、1851年(嘉永14)に孝明天皇より“正一位護王大明神”の神階神号を授かりました。
その後、1886年(明治19)に明治天皇の勅命により京都御所蛤御門前に遷座し、現在に至ります。
境内あちこちに霊猪像が多いのは、御祭神である和気清麻呂公との関わりによるところが大きく、“いのしし神社”として地元京都では親しまれています。
護王神社はなぜ足腰のご利益があるのか?
御祭神の和気清麻呂公とイノシシにはどのような関係があるのでしょうか?実は、護王神社で授かるご利益とも深い関わりがあるようです。
奈良時代末期に当時の実力者であった弓削道鏡が偽りの御神託により天皇の位に就こうと画策しますが、和気清麻呂公が真の御神託を奉じて阻止することに成功、事なきを得ます。
この事によって弓削道鏡の逆恨みをかうことになり、和気清麻呂公は足の筋を斬られ、九州の山中へ流刑となってしまいます。
九州への道中で清麻呂公は弓削道鏡の刺客に幾度となく襲われ、険しい道中となりますが、ある日突然山の中から三百頭の猪が現れて清麻呂公を守り、道案内をしたといいます。
その後、道鏡に斬られた足の傷がみるみる治癒し、やがて清麻呂公は自力で歩くことができるようになったと云われます。
この故事によって護王神社は“足腰の守護神”として広く崇敬されるようになったのです。
護王神社の境内見どころについて
護王神社には京都御所に面した表門と境内北側に面した喜多門があります。
境内は拝殿の先に中門、その奥に本殿、中門南側には祈願殿と呼ばれる社殿が建ち並びます。
境内の見どころについて見ていきましょう。
幸運の霊猪・手水舎
通常、手水舎には龍が口から水を注いでることが多いのですが、護王神社では当然のごとくここでも猪像が登場して水を注いでいます。
花の時期なので花手水の仕様になっていました。猪の鼻を撫でると幸せが訪れると云われています。
※2021年春に行ってみたら可愛らしい猪でいっぱいに・・。
霊猪像
「狛犬」ならぬ「狛イノシシ」が拝殿の前に建てられています。雌雄一対になっています。
和気清麻呂公が京都から宇佐へ向かう道中の災難を300頭の猪が現れてお守りした故事にちなみます。
崇敬者からも和気清麻呂公が御祭神の護王神社には「狛犬」ならぬ「狛猪」をという声が多かったことから雌雄の「狛猪」が建てられたと云います。
カリンの木
表門を入ってすぐ右手、手水舎の北側にはカリンの木が高くそびえ立ちます。
樹齢100年以上といわれ「京都の巨樹名木百選」にも選出されています。秋には甘い香りのする大きな実がなり、3年周期で豊作、平作、不作を繰り返します。
カリンの実で作った「カリン酒」はぜんそくに効果があるといわれています。
和気清麻呂公像
1998年(平成10)に和気清麻呂公ご逝去千二百年祭を記念して造形作家の松本繁来氏によって建てられた銅像です。
清廉潔白と云われた和気清麻呂公のイメージぴったりの凛とした表情は真っ直ぐな眼差しが象徴しているようにも感じられます。
さざれ石
和気清麻呂公の銅像背後には国家「君が代」に詠まれる「さざれ石」があり、幅3m、高さ2mの大きな石となっています。
大小様々な石が集まって厳になっており、まさに「君が代」で詠まれる国を思う心が偲ばれます。
拝殿・本殿(中門)
表門から境内に入ると正面に現れるのが拝殿、拝殿の奥には中門があり、さらに奥には本殿があります。
お参りは中門前から本殿に向かって行います。中門には鐘をならす綱が4本垂れ下がっています。
足萎難儀回復の碑
中門(本殿)に向かって右側には招魂樹(オガタマノキ)があり、そのそばに「足萎難儀回復の碑」があります。
足腰の病気、けがの回復を願う参拝者が一年を通じて大勢来られます。大きな足形の上に乗ってお参りしたり、石碑をさすったりしてお参りをします。
願掛け猪と座立亥串
同じく中門(本殿)に向かって左側にある招魂樹(オガタマノキ)の根元には“願掛け猪”の石像があります。
“願掛け猪”の石像のまわりには“座立亥串(くらたていぐし)”という願掛けの串がこれでもか、と言わんばかりに建てられています。
飛翔親子猪
祈願殿の左手にはこの地に立っていたという樹齢300年の桂の木の根株をチェーンソーアートの彫刻をした“翼の生えた神猪が子猪を守る姿”が表現された木像があります。
まるでアニメ映画“もののけ姫”に出てくる“乙事主(おっことぬし)”に似てるように感じます。
境内末社
境内末社は3つあり西側から「警察消防招魂社」、「久邇宮家御霊殿」そして「祖霊社(近衛社)」が並びます。
末社の間には和気清麻呂公像のミニチュア版があったり、“足腰の守護神”ということからか足跡の石板があったりして不思議な空間になっています。
「警察消防招魂社」は警察や消防の殉職者を弔いお祀りしており、「久邇宮家御霊殿」は1964年(昭和39)に旧久邇宮家邸宅より遷座した霊殿となっています。
最後に「祖霊社(近衛社)」は護王神社の歴代宮司、神職、役員総代の霊を祀っています。
伊勢神宮遥拝所
境内東北角に位置し、方向的に伊勢神宮の方向を向いて参拝するのが「伊勢神宮遥拝所」です。
京都には他に松尾大社や上賀茂神社など京都最古と言われる神社にも「伊勢神宮遥拝所」があります。
護王神社から見た伊勢神宮は「東南方向」なのですが、どうみても「真東」を向いてるような気がします。
護王神社へのアクセスと駐車場について
●護王神社
TEL:075-441-5458
〒602-8011 京都府京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町385(京都御所蛤御門前)
■拝観料金 無料・境内自由
■拝観時間 6:00~21:00
※社務所御朱印受付は9:00~17:00
■アクセス
・市営地下鉄烏丸線/丸太町駅下車、徒歩北へ7分
・市バス/51系統乗車、烏丸下長者町下車すぐ
■駐車場 あり(6台)※喜多門より境内へ
まとめ
今回は“足腰の守護神”こと京都「護王神社」の紹介でした。
足腰に不安のある方々が多く参拝に訪れ、普段はそうでもありませんが、初詣の参拝客は境内規模がそこまで大きくない為、表門から境内外壁に沿って行列ができます。
参拝者専用駐車場はありますが、平日の参拝時なら停められる可能性は高いのですが、初詣シーズン、行楽シーズンの週末は公共交通機関を利用ください。
場所は京都御所蛤御門前で非常にわかりやすいと思います。
2020年は「鬼滅の刃」が大ブレイクした年ですが、主人公の仲間のひとり“伊之助”は猪の被り物をした野生異端児の変わった剣士。
巷では“猪の被り物をした猪頭少年”として話題となり、神社の展示ブースにも“伊之助グッズ”が登場してたのでチェックしてみてください。
コメント