“京都はんなりずむ”を訪れて頂きありがとうございます。
京都在住のブロガーKyotaroです。
京都の夏の風物詩、祇園祭でにぎわう新町通に一際重厚な佇まいを見せる京町家があります。
それが京都市指定有形文化財に登録されている、くろちく「八竹庵(旧川崎家住宅)」です。
大正時代の豪商「四代目 井上利助」の邸宅として建てられたこの建物は、後に呉服商の川崎氏の住宅となり、現代では稀少な和洋折衷の建築様式と、祇園祭を間近で楽しむための特別な空間が今もなお残されています。
詳しく見ていきましょう。
八竹庵の歴史背景について
八竹庵は、1926年(大正15)に室町随一の綿布商「四代目 井上利助」が、当時の贅を尽くして建てた邸宅です。
建築当時はまだ珍しかった最先端の技術と流行を取り入れながらも、和の伝統的な様式と見事に融合させた「大塀造」と呼ばれる京町家で、特に注目すべきは、当時の建築界を代表する二人の巨匠が設計に携わっている点です。
洋館部分は「関西近代建築の父」と称される武田五一、そして茶室や和室部分は数寄屋建築の名工・上坂浅次郎が担当しました。
異なる専門分野の建築家が手掛けた空間が、一つの建物の中で見事に調和しているのが八竹庵の大きな特徴です。
その後、所有者の変遷を経て、2019年には一時は取り壊しの危機にも瀕しましたが、幸いにも保存・修復され、現在は文化・芸術の発信拠点として活用されています。
建物全体から、大正時代の京都の豪商が築いた、和と洋が織りなす華やかな文化の断片を感じ取ることができます。
八竹庵の見どころ
今回、Kyotaroは初めて八竹庵を訪れましたが、入口から驚きの建築仕様に心が躍りました。
八竹庵の館内は、贅沢な造りの中に様々な見どころが詰まっていますので詳しく紹介していきましょう。
特徴的な和洋折衷の空間
まずはじめに玄関を入ると、いきなりその特徴を知ることになります。
和風の外観とは一転してモダンな洋間が広がります。
これは武田五一が設計した応接室で、当時としては画期的な間取りでした。
また、2階にも豪華な洋間サロンがあり、フランクロイドライト様式を取り入れた寄木細工の床やシャンデリアなど、絢爛豪華な雰囲気を味わえます。
伝統的な日本建築を堪能
一方、和室や茶室は、上坂浅次郎による数寄屋建築の粋が凝縮されており、必見です。
中でも日本画家・竹内栖鳳による東山三十六峰をモチーフにした欄間は、部屋全体に荘厳な雰囲気を与えています。
これぞ京町家という空間がそこには広がり、静寂の時間を過ごすことができます。
そのままボーっと庭園を眺めていたい、そんな空間でした。
歴史的価値のある建具
主屋の窓には、現代では希少価値の高い「波打ちガラス」が建築当初の姿のまま残されています。
もう現代は製造できないだけに、その存在そのものが希少価値の塊というわけですね。
また敷地の奥には、かつて家財道具や行事の衣装を保存していた立派な土蔵が建っており、当時の豪商の暮らしぶりをうかがい知ることができます。
庭と広縁
建物に囲まれた中庭は、季節ごとに異なる表情を見せ、広縁から眺めることで、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
大正時代の京都の豪商の贅沢な暮らし、その雰囲気を現代に味わうことができる希少体験をさせて頂きました。
八竹庵と祇園祭、特別な「鉾見台」
八竹庵は、祇園祭の山鉾が建ち並ぶ新町通に面しており、その存在はとても重要な町並みや景観の一部であり、なくてはならない存在。
特にその存在感が際立つのが祇園祭・後祭の期間中で、まさに特別な空間となります。
祇園祭の特等席「鉾見台」
八竹庵の最もユニークな見どころの一つが、大正時代に作られた「鉾見台」です。
鉾見台は祇園祭の山鉾巡行を眺めるために設けられた、いわば専用の観覧席。
当時、豪商が近親者や賓客を招いて巡行を楽しんだ、まさに特等席というわけですね。
今もなお当時の姿のまま残されており、祇園祭期間中にはこの鉾見台から、目の前を通り過ぎる南観音山、北観音山、八幡山、そして殿をつとめる大船鉾をゆっくりと眺めることができます。
祇園祭「後祭」の特別な眺め
特に後祭(あとまつり)の巡行は、新町通がメインルートの一つとなるため、八竹庵からの眺めは格別です。
山鉾がゆっくりと進んでいく様子や、お囃子の音色を間近で体験できるのは、八竹庵ならではの特別な醍醐味と言えるでしょう。
年に一度の贅沢な特等席、Kyotaroも2025年は特別に堪能させて頂けました。
八竹庵へのアクセスと駐車場について
●八竹庵
TEL:075-708-7189
〒604-8205 京都府京都市中京区三条町340
◆見学料金 一般 1,700円(入館料700円+文化財保護継承協力金1,000円)、中高生500円、小学生200円?
◆開館時間 10時~17時(受付終了16時30分)
◆休館日 不定休(開館日時は公式サイトで確認)
◆アクセス 四条烏丸からのアクセスが便利
・阪急京都線「烏丸駅」下車、徒歩8分
・京都市営地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」下車、徒歩5分
◆駐車場 なし※周辺コインパークを利用
※祇園祭期間中は公共交通機関を利用しましょう
まとめ
今回は京都の町中、くろちく「八竹庵」の紹介でした。
八竹庵は、単なる歴史的建造物としてだけでなく、京都の文化や伝統を肌で感じられる貴重な場所です。
祇園祭の時期だけでなく、年間を通じて見学が可能、様々なイベントや催しも開催されています。
ぜひ一度足を運んで、その魅力を実際に体験してみてください。
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