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京都在住のブロガーKyotaroです。
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滋賀県大津市の湖畔に、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚える美しい近代建築が佇んでいます。
それが「びわ湖大津館(旧琵琶湖ホテル)」です。
かつて「湖国の迎賓館」として世界のVIPを迎え入れたこの建物は、2025年公開の大ヒット映画『国宝』の主要な舞台(ロケ地)としても大きな注目を集めています。
今回は、その歴史的背景から映画ファンならずとも訪れたい館内の見どころ、優雅なフレンチランチ、そして気になるアクセス情報まで、その魅力を余すことなくお届けします。
琵琶湖ホテルと観光開発の歩み
びわ湖大津館(旧琵琶湖ホテル)の最大の魅力は、その壁一枚、柱一本に刻まれた深い歴史にあります。
ここでは、このクラシック建築がいかにして誕生し、どのような人々を迎えてきたのかを紐解いていきましょう。
滋賀初の国際観光ホテル「琵琶湖ホテル」の誕生
戦前、戦後の京都は首都機能を失い、観光都市として世界中から観光客を誘致、その施策が軌道に乗り始め、徐々に飽和状態にありました。
そんな京都の受け皿としての機能を果たすべく、1934年(昭和9年)滋賀県初の本格的な国際観光ホテルとして「琵琶湖ホテル」が誕生しました。
設計を手がけたのは、東京の歌舞伎座や大阪市中央公会堂など、日本の名建築を数多く生み出した岡田建築事務所。
外観は桃山様式と呼ばれる和風の屋根を持ちながら、構造は最新鋭の鉄筋コンクリート造という「帝冠様式」が採用されました。
青い湖面に映えるその威風堂々とした姿は、当時、琵琶湖観光の新しい時代の幕開けを象徴するものでした。
世界の著名人が愛した「湖国の迎賓館」
「湖国の迎賓館」という別名の通り、「琵琶湖ホテル」には国内外のVIPが数多く滞在しました。
昭和天皇をはじめとする皇族方、さらには社会福祉活動家のヘレン・ケラー、映画スターのジョン・ウェインなど、歴史に名を残す著名人たちがこの窓から琵琶湖を眺めたのです。
館内を歩くと、当時の著名人たちが触れたであろう手すりの彫刻や、ロビーの重厚な空気感に圧倒されます。
それは単なる古い建物ではなく、日本の近代化と観光の歴史がぎゅっと凝縮された空間なのです。
館内3階には、そんな「琵琶湖ホテル」の歴史を展示するコーナーもありますので、ぜひ拝見しましょう。
琵琶湖観光の発展と「ミシガン」が接岸する港
びわ湖大津館がある柳が崎湖畔公園には、観光遊覧船「ミシガン」が接岸する「柳が崎湖畔公園港」があります。
当時の琵琶湖の観光開発において、目玉ともいえる遊覧船の存在は欠かせませんでした。
1882年(明治15)設立の太湖汽船が日本初の鉄道連絡船(大津〜長浜)を運航し、東海道本線開通前まで東西交通の要となり、琵琶湖遊覧の先駆けとなる存在でした。
その後、1886年(明治19年)に設立された湖南汽船がローカル航路(大津〜草津間など)を主力として発展し、のちに太湖汽船を統合、「琵琶湖汽船」が誕生したのです。
1982年(昭和57)に就航したミシガンは、アメリカ南部の外輪船をイメージした陽気な船体で、湖上から大津の街並みを眺める贅沢な時間を提供してきました。
大津港を出発したミシガンが、この歴史ある建物の目の前にゆっくりと接岸する光景は、新旧の観光資源が融合した、大津ならではの絶景といえるでしょう。
びわ湖大津館の館内見どころの全貌、映画「国宝」の世界へ
2025年、作家・吉田修一氏の渾身作を映画化した「国宝」が公開され、日本中に感動を呼び起こしました。
その劇中で重要な役割を果たしたのが、このびわ湖大津館ってご存知でしょうか。
映画「国宝」の舞台“日乃本座”としての顔
映画の中で、びわ湖大津館は歌舞伎劇場「日乃本座」の外観やロビーとして登場します。
「なぜホテルが歌舞伎座に?」と思われるかもしれませんが、前述した通りこの建物は「本物の歌舞伎座」を手がけた岡田建築事務所の設計。
そのため、細部の装飾や屋根の曲線が歌舞伎座と非常によく似ているため、今回のロケ地として選ばれたのです。
まさに1階ロビーは、吉沢亮さん演じる主人公・喜久雄や、森七菜さん、中村鴈治郎さんといった豪華キャストが実際に演技を繰り広げた場所。
館内には「喜久雄が触った柱」の表示や、撮影で使用された桜柄の絨毯、さらには映画のために特別に設えられた扉の装飾などが今も大切に残されており、また紹介パネルまで設置(※2026年1月現在)されており、ファンにとっては最高の聖地巡礼スポットとなっています。
展望テラスと琵琶湖ホテルの歴史を展示
3階に上がると、そこには歴史の断片に触れられる「展示スペース」があります。
旧琵琶湖ホテル時代のカトラリーや当時の写真などが展示されており、往時の華やかな社交界の様子が手に取るようにわかります。
また、同じフロアの「展望テラス」は必見です。
ここからは、真っ青な琵琶湖と湖都・大津市街から対岸の草津市まで一望でき、隣接するイングリッシュガーデンの幾何学模様(ノットガーデン)を俯瞰できます。
特に晴れた日は、対岸の近江富士(三上山)まで見渡せる絶好のフォトスポットです。
湖畔のレストラン「ベル ヴァン ブルージュ」でのひととき
びわ湖大津館の1階にあるレストラン「ベル ヴァン ブルージュ」は、旧ホテルの面影を色濃く残すフレンチレストラン。
高い天井と大きな窓、そしてテラス席からは湖が見え、心地よい開放感に包まれます。
メニューは、近江牛や地元の旬野菜をふんだんに使った創作フレンチ。
週替わりのメインが選べる人気のセット「セレクトランチ(@2,500円税込~)」やベルギーにちなんだ逸品「牛ホホ肉のベルギービール煮込み」、カフェタイムに人気のボリューム満点スイーツ「ベルギーワッフルセット」などのメニューが人気。
映画の余韻に浸りながら、あるいは湖を行き交う船を眺めながらいただく食事は、日々の忙しさを忘れさせてくれる最高のご褒美です。
ぜひ、びわ湖大津館を訪れる際には、ランチタイムまで想定した計画、予定をたててみてはいかがでしょうか。
戦後の日本、観光発展の歩みを始めた歴史に思いを馳せ、母なる琵琶湖を眺めながらゆったりした時間を過ごすことができます。
※「ベル ヴァン ブルージュ」の情報は2026年1月時点の情報です。
訪れる前にチェック!びわ湖大津館の詳細とアクセス情報
●びわ湖大津館(旧琵琶湖ホテル)
TEL:077-511-4187
〒520-0022 滋賀県大津市柳が崎5-35
◆入館料金 館内(共有スペース・展示・レストラン)への入場は無料
※隣接する「イングリッシュガーデン」は入園料(大人330円、小中学生160円)が必要
◆開館時間 9:00~19:30(※施設や店舗により営業時間は異なります)
・展示室 9:00~17:00
・レストラン 10:00~21:00(L.O.19:30)
◆休館日 年末年始(12月31日~1月3日)
※メンテナンスによる臨時休館があるため、公式サイトでの確認をおすすめします。
◆アクセス 京都駅からも近く、公共交通機関でのアクセスが便利
京阪電車:石山坂本線「近江神宮前駅」から徒歩約20分
JR:湖西線「大津京駅」から徒歩約20分
バス:JR大津駅から江若バス又は京阪バス「柳が崎」で下車、徒歩約3分
◆駐車場 専用駐車場(有料/1時間220円/2時間330円/3時間440円)あり
※割引サービス:駐車場優待サービスあり、駐車券提示をしましょう。
まとめ
びわ湖大津館は、昭和初期から続く重厚な歴史と映画「国宝」の舞台になるなど新しい物語が交差する、唯一無二の場所。
かつてヘレン・ケラーがその美しさに感銘を受け、現代では映画の銀幕を彩る「日乃本座」として脚光を浴びることになりました。
この建物が持つ「記憶の層」の厚さこそが、多くの人々を惹きつけてやまない理由なのかもしれません。
琵琶湖のほとりに立ち、心地よい風を感じながら、かつての賓客たちが見た景色をなぞってみる。
あるいは、映画のワンシーンを思い浮かべながら、優雅なフレンチに舌鼓を打つ。
ここでの過ごし方は人それぞれですが、共通して言えるのは、訪れた人すべての心に「穏やかで上質な時間」を刻んでくれること間違いありません。
京都から少し足を伸ばすだけで出会える、滋賀の名建築・びわ湖大津館へあなたも出かけてみませんか?




























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