“京都はんなりずむ”を訪れて頂きありがとうございます。
京都在住のブロガーKyotaroです。
京都の寺院では春、秋のシーズンに特別公開を開催しているところが多く、今回は当ブログでも初めて訪れた建仁寺塔頭寺院「西来院」の紹介です。
建仁寺塔頭寺院については今まで霊源院、両足院の紹介をしてきましたが、この度の特別公開に合わせて初紹介となる「西来院」はブルーボトルコーヒーが境内に出店したことでも話題に。
詳しく見ていきましょう。
建仁寺塔頭西来院で「寺カフェ」を楽しむ
建仁寺塔頭寺院のひとつ西来院は建仁寺北門入ってすぐの場所にあります。
もともと非公開寺院でしたが、開祖である蘭渓道隆の750回忌を迎える2028年(令和10)を見据えた改修工事が3月に終わり今回、特別公開が開催されています。
西来院について
「西来院」はもともと鎌倉時代(応永年間)に蘭渓道隆によって「清本院」として創建されましたが、四代のちの大宗によって「西来院」と改めたことに始まります。
応仁の乱をはじめ数々の戦乱、戦火に遭いながら桃山から江戸時代初期にあたる慶長年間に再興、現在の本堂は1677年(延宝5)に再建、今日の改修に至ります。
蘭渓道隆は鎌倉時代に宋の国から日本に禅を広めるために来日した中国四川省出身の僧で、当時の北条氏に招かれ鎌倉にある「建長寺」を開山したことでも知られています。
鎌倉や京都で名声を高めた蘭渓道隆は建仁寺の第十一世住持も務めました。
西来院で楽しめる「寺カフェ」
全国的に有名なコーヒーチェーンの「ブルーボトルコーヒー」が、2024年3月の改修とともに西来院境内入ってすぐの場所に出店したことが話題を呼んでいます。
出店と言っても境内に店舗があるわけではなく、移動式のコーヒートラックが山門入ってすぐ右のスペースにあり、テイクアウト専門で販売をしています。
購入したドリンクは西来院の境内、今回の改修で新しくなった前庭「九華青蓮」、本堂前庭「峨眉乗雲」で頂くことができます。
前庭「九華青蓮」を眺める堂内には座布団とお膳が複数用意されており、また本堂前庭「峨眉乗雲」では坐禅用座布団が軒先にずらっと並べられており、そこで購入したドリンクを庭園を眺めながら頂くこともできます。
ちなみにブルーボトルコーヒーでドリンクを購入して「西来院」を拝観すると拝観料500円が400円に100円割引で拝観できる特典が付いてきます。
今回Kyotaroは抹茶ラテ(HOT)928円を注文しましたが、ラテアートが素敵でした。
中庭の石器「円宗」が綺麗だったので前庭ではなく、中庭を拝観しながら「抹茶ラテ(HOT)」を美味しく頂きました。
西来院の見どころは4つの「庭園」と本堂の天井画「白龍図」
続いて西来院境内の見どころを紹介します。
今回の改修工事によって裏庭を含め4つの庭園が新しくなり、本堂の天井には「白龍図」が圧巻の表現力で描かれている点が見どころのポイントとなります。
今回の改修にあたっては作庭家、アーティストなどその道で活躍する人物の手によって新しくなったものばかりで見ごたえがありました。
中根金作氏の中根庭園研究所による枯山水庭園
まず初めに境内で目に飛び込んでくるのが、前庭「九華青蓮」です。
作庭後、間もないこと、新緑がとても映えていることもあり、フレッシュな印象をうける庭園です。
作庭は中根庭園研究所が担当し、あの昭和の小堀遠州と称された中根金作氏の孫にあたる中根行宏氏、中根直紀氏兄弟によるものです。
これら複数の庭園には「蘭の寺」にちなんで蘭が可憐な美しい花を咲かせていました。
前庭「九華青蓮」
山門入ってすぐ正面に広がる庭園で境内からも眺めることができます。
ゆるやかな傾斜からなる築山には9つの阿波青石が配されており、訪れた際、庭園の随所に紫紺の蘭の花が開花していました。
庭園中央の阿波青石は「蓮の花」の開花を表現するため、釈迦如来に見立てて配置しています。
本堂前庭「峨眉乗雲」
本堂前庭園は方丈前庭ともいいますが、モデルとなったのは中国「峨眉山」の雲海の様子。
作庭にあたり、西来院の住職とともに中根行宏氏は中国四川省を訪ね、実際にその様子を取材してきたといいます。
「峨眉山」はユネスコの世界遺産にも登録されており、四川省出身の開祖・蘭渓道隆も見たとされる深山幽谷の景色を再現するべく枯山水庭園とし、庭園に配置された巨石は実際に「峨眉山」から運ばれたものです。
流れるような雲海を表す白砂と目の前に広がる青もみじのコントラストがとても眩しい、景観を創りあげていました。
中庭
中庭は前庭、方丈前庭とは反対側、建物に取り囲まれるように作庭された箱庭で白砂に映える複数の竹が日本ならではの風情を作りあげる美しい庭園です。
石器「円宗」に浮かぶ蘭の花がとても綺麗で思わず、こちら側でしばらく座りながらKyotaroは「抹茶ラテ」を堪能していました。
中庭も含めて西来院には蘭の花が約1,200株ほど植えられており、まさに「蘭の花」と呼ばれる由縁がここにあります。
実はここでもアーティストによる植栽が加えられており、世界的にも有名なプラントハンターの西畠清順氏が携わり、開花を迎えていました。
裏庭
本堂の裏側にも実は庭園があり、公開用ではありませんが、登竜門の屏風や達磨の掛け軸を拝観する際に眺めることができます。
詳しい紹介はないのでよくわかりませんが、こちらも美しい庭園で苔と手水鉢、そして白砂、青もみじが映える庭園でした。
本堂の天井画「白龍図」と「唐獅子図屏風」
本堂には地蔵菩薩、蘭渓道隆坐像が安置されており、とても広い空間になっています。
正面には美しい枯山水庭園「峨眉乗雲」を眺めることができ、その本堂の天井画には圧巻の「白龍図」、本堂の東面には眩いばかりの金屏風「唐獅子図屏風」を見ることができます。
この白龍図が今回拝観のふたつめの目的でもあったのですが、なんとアーティストは中国人アーティスト「陳漫(チェンマン)」氏によるもの。
横13m、縦6mというサイズに2匹の白龍がそれぞれ描かれており、日本画家が描いた龍図とは明らかに異なる、どこか幻想的かつ眼光の鋭い、妖艶なな描き方がされていました。
また金屏風は獅子図が描かれており、こちらも同じく日本画とは明らかに異なる、どこか愛嬌のある獅子図が描かれています。
金屏風「登竜門」
境内には白龍図のほかに「登竜門」という2匹の阿吽の龍を描いた金屏風があります。
その名の通り、“鯉が滝を登って龍になる”という故事にちなんだ屏風で実際に滝を登る鯉の姿も描かれています。
作者は同じくアーティストの木村英輝氏でキーヤンの愛称で親しまれる画家で、同じようなテイストの絵が青蓮院門跡や京都市動物園などでも見ることができます。
西来院へのアクセスと駐車場について
●西来院
TEL:075-561-5785
〒605-0811 京都府京都市東山区大和大路四条下ル
■拝観料金 大人500円
■拝観時間 10:00~17:00※法務により変更の可能性あり、要事前確認。
■アクセス 最寄りは市バス「東山安井」から歩いて約5分
・市バス「東山安井」下車、徒歩約5分
・阪急京都線「京都河原町駅」下車、徒歩約13分
・京阪京都本線「祇園四条」下車、徒歩約10分
■駐車場 建仁寺専用駐車場(有料)を利用、もしくは周辺コインパーク利用
まとめ
今回は建仁寺塔頭「西来院」を「寺カフェ」が楽しめる寺院として紹介させて頂きました。
2028年(令和10)に迎える開祖・蘭渓道隆の750回忌の節目に備えて今回、大規模な改修工事が行われ、特別公開が2024年3月より行われています。
それに合わせて「寺カフェ」が楽しめるよう境内の一角に「ブルーボトルコーヒー」の移動車が店舗として設置されており、テイクアウト専門で各種飲料が楽しめるようになっています。
今回、Kyotaroが注文した抹茶ラテは宇治茶専門店「祇園辻利」の銘柄である「十徳(じゅっとく)」が使用されており、普通の甘い感じではなく、どこか緑茶独特の苦みが生かされたテイストになっていました。
建仁寺と言えば、開祖の栄西禅師が宋からお茶の葉を持ち帰ったことが日本にお茶が伝来した始まり、と云われていますのでそういうことを想起して庭園を眺めながら飲む「抹茶ラテ」は格別でした。
また、スタッフの方がドリンクと一緒におすすめしてくださる羊羹は京都の有名な「都松庵」とコラボした限定品なのでぜひ、一緒に食べてみてはいかがでしょうか。
茶の文化が広まった建仁寺、その塔頭寺院で「寺カフェ」が楽しめる、とても面白い企画が満載の特別公開でした。
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