本願寺水道は琵琶湖疎水を活用した京都の地下に眠る“近代文化遺産”

京都街歩き
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京都在住のブロガーKyotaroです。

今回は自転車ではなく、自らの足で「本願寺水道」を辿るルート4.6㎞を歩いて来ました。

所要時間は京都蹴上から東本願寺まで、三条~四条~五条と徐々に南下して約90分のウォーキング。

本願寺水道」とは琵琶湖疎水を用いた、京都の地下に眠る巨大防災システムのことで電力を一切使わず、48mの高低差を用いた自然水圧で水を噴き上げるというもの。

江戸時代の大火を幾度となく経験してきた東本願寺を守るために造られた防火水道についての紹介です。

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本願寺水道は何がそんなにスゴい?

本願寺水道」は明治時代に整備された防火用水道のことで、東本願寺を火災から守るために造られました。

琵琶湖疎水の水を蹴上船溜付近にある「本願寺水道水源地」に用いて、京都の地下に埋設された約4,6㎞ものベルギー製鋳鉄管を通して東本願寺まで運んでいます。

何が凄いかと言うと東本願寺山門前の噴水が吹きあがってるのは自然のチカラだという点。

本願寺水道水源地」と東本願寺との高低差は48mあり、防災に必要な自然水圧で水を噴き上げてるのです。

この防火水道ができた契機は、東本願寺の江戸時代における四回もの焼失にあるようです。

明治期に行われた「本願寺水道」の敷設工事は、大政奉還に伴い国の中心が東京へ移ることで衰退し始めた京都活性化の一大事業といわれ、近代の防災文化遺産ともいわれます。

本願寺水道水源地から東本願寺まで京の街ウォーク

本願寺水道水源地から東本願寺まで「本願寺水道」を辿りながら歩いて来ました。

午前11時30分にスタートして東本願寺前の噴水に到着したのが13時頃でしたので約90分間の健康ウォークとなりました。

本願寺水道水源地はどこにある?

「本願寺水道水源地」は蹴上インクラインを上がっていった先の琵琶湖疎水「蹴上船溜」の前にあります。

京都市街地が一望できる高台にあり付近の公園には琵琶湖疎水工事を指揮した田辺朔郎博士像があります。

本願寺水道水源地の隣に佇む「義経地蔵」は牛若丸ゆかりの地

なぜお地蔵様が牛若丸ゆかりの地にあるのか?

それは平安末期に義経(遮那王牛若丸)が平家打倒を誓って京都の鞍馬山を離れて金売吉次とともに奥州に向かう際にこの地で起こった事件に由来します。

義経一行がこの岡峠付近に差し掛かった時、行く手より平家の関原与一ら九人とすれ違う際に馬が蹴り上げた泥水が義経の衣服を汚してしまいます。

謝罪なく通り過ぎた関原一団に腹を立てた義経は九人全員を切り殺すも、直後にふと我に返り自らの行為を後悔、村人に菩提を弔うよう頼んで旅を続けたといいます。

その時に安置された九体の地蔵のうちの一体が現在も残っており、ここに祀られており、「義経地蔵」と名付けられたのです。

ねじりまんぽと白川疎水

「ねじりまんぽ」とは蹴上駅から南禅寺へ向かう際に蹴上インクラインの下を通る小さなトンネル通路の事です。

「まんぽ」とはトンネルのことでトンネル内壁は煉瓦が斜めに巻かれており、かつトンネル通路自体もインクラインと直角ではなく、斜めに掘られてるのが特徴です。

これは台車に乗せた船が行き交うインクラインの重さに耐えきれず、崩落しないようにした明治時代の土木技術を物語る貴重な遺産のひとつなのです。

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「白川疎水」はインクラインから三条通を進むと東山通り手前に出てくる川ことで、疎水というより京都独特の水路として作られた川(高瀬川など)という感じで風情があります。

川沿いの柳の木や一本橋という素朴な橋が当時の面影を残し、下流域には祇園の街並みが広がり、有名な「祇園白川」は春の桜、秋の紅葉名勝でもあります。

五条大橋の裏側で垣間見れる防火水道

本願寺水道は知恩院前を通過、祇園から地下を通り、建仁寺の地下から五条大橋に差し掛かった時に鴨川遊歩道に降りると橋の下から防火水道を見ることができます。

建仁寺前というのは西側の山門前にあるマンホールで確認できます。ふたつマンホールがあるのですが、道路中央の大きいマンホールの方ですね。

また五条大橋の下に降りたら、何本か水道が走ってるのですが、「本願寺水道」はいちばん下流側の水道にあたります。

ちょうどとなりに緑の水道が並走してるので探す際には目印にして下さい。

渉成園から東本願寺へ

五条大橋の下で「本願寺水道」を確認したあとは、五条大橋を渡り、河原町通りを南下して渉成園へ向かいます。

ちなみに渉成園入口は河原町通り沿いにはなく、一筋西側の間之町通り側の西口からの入場となります(東本願寺側に入口がある)。

渉成園内にある池の水も本願寺水道がもたらしているものです。

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渉成園への入口前の道を西へ進むともう烏丸通、東本願寺がすぐ見えて来ます。

烏丸通に出て信号を渡ると東本願寺山門前の噴水へ到着。ここまで歩いて約90分間の徒歩移動でした。

東本願寺周辺のお堀も本願寺水道を兼ねており、防火の際には欠かせない水となっているのです。東本願寺から最寄り駅は京都駅です。徒歩6,7分の距離です。

蹴上疎水公園への行き方と駐車場について

■蹴上疎水公園(蹴上インクライン)
〒605-0044 京都市東山区東小物座町331
見学時間 自由
見学料金 見学自由
アクセス
・地下鉄東西線/「蹴上駅」下車、徒歩約3分
・市バス/「法勝寺」下車、徒歩約5分
駐車場 なし ※嵐山の有料駐車場利用

まとめ

今回は「本願寺水道」を辿りながら京都の街を歩くコースの紹介でした。

東本願寺が江戸時代に4回も焼失していたとはKyotaroも知らず、その苦難の歴史が作り上げた防火水道だったんですね。

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琵琶湖疎水の水を用いて京都の街ならではの高低差を生かした自然水圧での噴水は明治期の工事として、一大事業であったことが伺えます。

春や秋の晴天の日には心地よく歩くことができ、南禅寺から途中、白川沿い、知恩院、祇園、建仁寺、渉成園などを楽しみながら歩けるのも魅力です。

途中、白川疎水沿いには「明智光秀の塚」もありますのでぜひ、立ち寄ってみて下さい。

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