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京都在住のブロガーKyotaroです。
京都嵯峨野にある「宝筐院」は紅葉が有名な臨済宗の寺院でかつては天龍寺の境外塔頭寺院として繁栄した時代があります。
現在は嵯峨野にひっそりと佇む、非常に静かな寺院で境内には楠木正行公と足利義詮公のお墓が並んで建っている珍しい寺院でもあります。
過去5年の紅葉見頃と境内見どころを歴史的観点からも詳しく見ていきましょう。
宝筐院は嵯峨野屈指の紅葉名勝、気になるもみじの見頃は?
宝筐院といえば紅葉というくらい、秋のもみじの季節になると普段は静かな寺院へ大勢の観光客が訪れます。
京都屈指の人気観光地である嵐山からも歩いて行ける立地条件にあり、観光するにもとても便利です。
過去5年のデータをもとに紅葉の見頃について紹介しましょう。
例年見頃が当てはまらない寺院
宝筐院だけでなく、近年の紅葉はその年の気候条件に大きく左右され、特に夏場の気温、天候が大きく影響します。
特にここ数年は夏場の猛暑の影響で“鮮やかな紅葉”が見ることができないケースも増えています。
宝筐院に関しても例外なく、すでに夏の猛暑で楓の葉がやられてしまうものがありました。
また宝筐院は紅葉見頃のピークが年によって前後するケースが非常に多く、ピークの一週間が“いつ頃”となかなか言うことが出来ません。
宝筐院の“公式サイト”でも「天候等に左右されるため、紅葉のピークは予測不可能です」との記載がされています。
唯一言えることは11月上旬、年によっては11月中旬頃、直前の状況を見て判断することですが、遠方より京都へ旅行でお越しになる場合は直前で日程を決めるのは難しいですね。
過去5年を比較すると?
宝筐院の過去5年の紅葉ピークのデータを見てみると、5年とも11月20日を過ぎてから紅葉のピークを迎えています。
さらに細かく見ていくと2016年と2020年は20日からピークに入っていましたが、2017年と2019年は24日からピークを迎え、2018年は27日からピークを迎え、月末には落葉していました。
このように20日過ぎでもピークが3~4日はずれてしまうのでなかなか予測が難しいというわけですね。
また他の紅葉名勝と違ってピークの期間も5~7日程度と桜並みの見頃期間の短さになっていますので判断が難しくなっています。
ちなみに過去20年間でいちばん早かったのが2002年に11月17日にピークを迎えた年があります。
宝筐院の見どころを歴史的観点を含めて紹介
宝筐院は嵯峨野にある小さくて静かな寺院ですが、境内の大半は回遊式庭園がひろがり、多くの楓、青苔、川に見立てた白砂が美しい景観となっています。
木々に囲まれた庭園には書院と本堂が見え隠れするコントラストがまた風情があり、紅葉時期以外でも充分その景観を楽しむことができます。
ここでは境内の見どころを歴史的観点から紹介しましょう。
宝筐院の見どころ
宝筐院の見どころは美しい庭園と紅葉です。
ただ秋の紅葉シーズン以外にも春から初夏は新緑が眩しい青もみじが生い茂り、とても美しくグリーンシャワーを体感できます。
また夏にかけて庭園の所々で季節の花々も咲くので、充分その美しさを堪能できます。
また一年を通して苔庭が広がり、青々とした独特の美しさを楽しむことができるのも宝筐院の見どころのひとつ。
境内には書院と本堂があり、書院には入れませんが、本堂は靴を脱いで参拝することも可能です。
参拝後は本堂内から外を眺めることができ、額縁のような美しい京都らしい景観が広がり、9月のこの時期は本当に静かなのでのんびり景色を眺めていられます。
回遊式庭園ですが、水が流れる小川などはなく、すべて白砂と白石でが敷き詰められており、苔の緑、楓の緑、季節の花々などとのカラフルなコントラストが映える景観が広がります。
出入口から入るとまっすぐ伸びる通路添いに青苔と楓のトンネルが続きますが、いちばん綺麗なのは本堂付近から出入口方向を眺めた景観が見事でした。
秋、紅葉の季節はさらに絶景に包まれることでしょう。
境内には所々に石塔があり、日本庭園ならではの風情を感じることができますが、本堂裏の銅像はやや不思議な感じがします。
また出入口から入って正面の通路とは別に左手にも庭園を周遊する通路がありますのでお見逃しなく。
最終的には境内最奥にある楠木正行・足利義詮の墓所前で合流します。
境内のいたるところには楓の小さな若木が植えられていました。
個人的には眩しい“青もみじ”の方が写真映えするのでKyotaroは好きです。
楠木正行・足利義詮、政敵同士の墓所が並ぶ
宝筐院の庭園以外の見どころは何といっても境内にある楠木正行公と足利義詮公、まさに政敵同士が並んで眠っているお墓です。
石の柵に囲まれた二基の全く形の異なる石塔が建っています。
向かって右側の五輪塔が楠木正幸公の「首塚」で向かって左側の三層石塔が足利義詮公の「墓」になります。
楠木正幸公の墓を「首塚」と呼んでいるのは首だけを葬っているからその呼び名となっているそうです。
墓前にある石灯篭に刻まれた「精忠」「碎徳」は富岡鉄斎の揮毫でそれぞれ“最も優れた忠”“一片の徳”という意味。
これは義詮公の徳の大きさを褒め称えた言葉として刻まれています。
すなわち政敵である楠木正幸公を褒め称えた足利義詮公が自らの墓所の傍らに正行公の「首塚」を安置させた徳のある行いを褒め称えるも義詮公全体の徳から見れば些細な事、という意味があり、いかに義詮公の功徳が大きいかを示すものなのです。
宝筐院の歴史
宝筐院は平安時代に白河天皇によって建てられ、開創当時は「善入寺」と名付けられ、南北朝時代には夢想国師の高弟・黙庵周諭禅師が入寺しました。
その後、「入善寺」は室町幕府第二代将軍の足利義詮公の保護により、伽藍が整備されてから臨済宗の寺院となります。
1367年(貞治6)に義詮公の没後はその菩提寺となり、義詮の院号「宝筐院」に因み、寺名を「宝筐院」と改められ、歴代足利将軍の保護下におかれました。
一時期は天龍寺の境外塔頭寺院として隆盛を極めるが、応仁の乱により衰退、明治初期には廃寺されるが、約50年の時を経て復興、現在に至ります。
宝筐院へ嵐山から徒歩での行き方は?
宝筐院は分かりやすい場所にあるのですが、外観からつい素通りしてしまいがちなので「嵐山」からの行き方を紹介しましょう。
渡月橋から続く嵐山のメインストリート「長辻通り」をまっすぐ嵯峨方面へ北上すると突き当りにあるのが嵯峨釈迦堂こと「清凉寺」です。
「清凉寺」に突き当り左折すると正面の突き当りに見える山門が「宝筐院」です。
が、入口は柵で閉ざされたようになってるのでつい行きすぎてしまいそうになります。
山門の通用口から境内へ入ることになります。
渡月橋から「宝筐院」まで寄り道せず歩いて約15分の距離です。
また「清凉寺」から「宝筐院」前を走るこの道路は奥嵯峨方面への抜け道となっており、車どおりも結構多く、多くの人や車が行き交う場所でもあります。
「清凉寺」に突き当り、左折したら70,80m程で再び突き当る場所が「宝筐院」山門です。
通常非公開寺院のような外観ですが、つい通り過ぎないよう注意しましょう。
宝筐院へのアクセスと駐車場について
●宝筐院(ほうきょういん)
TEL:075-861-0610
〒616-8424 京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂門前南中院町9-1
■拝観料金 大人500円 小中学生200円
■拝観時間 9:00~16:00
※11/10-12/8は16:30まで
■アクセス
・JR嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」下車、徒歩15分
・京福電鉄(嵐電)「嵐山駅」下車、徒歩12分
・阪急電鉄「嵐山駅」下車、徒歩22分
■駐車場 なし※周辺コインパークを利用
まとめ
京都嵯峨野屈指の紅葉名勝である「宝筐院」の紹介でした。
秋の紅葉が有名ですが、新緑の“青もみじ”の時期は比較的観光客も少なく、静かな本堂から美しい庭園を眺めることができます。
嵯峨釈迦堂から歩いて1分の距離、渡月橋から徒歩15分とアクセスも便利な寺院です。
紅葉見頃の予測は非常に難しいですが、11月に入ってからの気候状況を日々チェックしてみましょう。
過去5年データではいずれも早くて11月20日以降に紅葉ピークを迎えています。
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