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京都在住のブロガーKyotaroです。
今回は京都の鹿苑寺こと「金閣」と慈照寺こと「銀閣」とともに京都三名閣に数えられる西本願寺「飛雲閣」の紹介です。
京の冬の旅2024の非公開文化財特別公開で行って来ました。
大徳寺にある前田家ゆかりの芳春院の「呑湖閣(どんこかく)」もいれて京都四名閣、さらに東福寺にある「伝衣閣(でんねかく)」までいれたら京都五名閣とも云われます。
特別公開拝観の様子、詳しく見ていきましょう。
西本願寺にある国宝・飛雲閣の特別公開へ
西本願寺の「飛雲閣」は境内の南東に位置し、筑地塀に覆われており、通常非公開文化財で国宝に指定されています。
また「飛雲閣」は「滴翠園」と呼ばれる名勝庭園、滄浪池(そうろうち)に囲まれたロケーションで楼閣入口には船着き場になっており、そこから内部へと出入りしていたと云われています。
飛雲閣について
金閣、銀閣と比べて三層ある楼閣建築でも左右が非対称の特徴的な造りになっており、これは大事な客人を通す部屋の上には何も造らない、ということから1階、2階にある貴賓室階上はそれぞれ屋根という造りになっているのです。
確かに1階部分に唐破風と千鳥破風の異なる建築様式を左右に配し、2階は寄棟造りで三方に小さな軒唐破風、3階も寄棟造りと変化に富む3層構造、かつ調和のとれた美しい造りになっています。
1階部分には招賢殿と八景の間のほか、池に面した舟入りの間があり、2階は外観をみてわかるとおり、戸板に人物像が描かれてるのですが、これは三十六歌仙の絵で歌仙の間があります。
また3階には8畳間があり、摘星楼と呼ばれ、各階いずれも大層立派な部屋の造りとなっています。
「飛雲閣」に隣接する赤い建物がありますが、こちらは「憶昔(いくじゃく)」という茶室で京都で有名な表千家、裏千家と並ぶ武者小路千家によるものです。
写真を見てもわかるとおり、柱が非常に細く、また障子窓が多く、さらに窓の上には白壁ということから、まるで空に浮かぶ雲のような印象をうけることから「飛雲閣」と名付けられたと云います。
残念ながら今回の特別公開は庭園内のみで「飛雲閣」内部に入ることはできません。
浴場の役割を果たした黄鶴台
「飛雲閣」とは池の上を行く回廊で西側に繋がっている建物が「黄鶴台」です。
?葺寄棟造りの高床式の建物でこちらを降りると浴室があり、さらに西南隅には唐破風の蒸風呂、鉄釜があり、当時は上の窓、板戸を開閉することで内部の温度調整を行っていたといいます。
ちなみに蒸風呂は蒸気で高温多湿となるため、床もとても熱かったため、敷物を敷いて凌いだと云われ、これが「風呂敷」の始まり、語源と云われています。
浴場はあるのですが、「飛雲閣」は宿泊としての機能役割はなく、あくまでおもてなす客人を浴場でゆっくりして頂く、という習わしが当時はあったようです。
滴翠園について
滴翠園は「飛雲閣」を取り囲むように広がる約4,900㎡の名勝庭園でその名の通り、冬季でも青々とした植物が生い茂る、美しい庭園です。
滄浪池(そうろうち)もみどりがかった池でかつては庭園入口近くの船着き場から「飛雲閣」の入口まで客人を乗せてこのわずかな距離を舟が行き来していたといいます。
滄浪池(そうろうち)に映しだされる「飛雲閣」の景観、そして水面に映る格子窓の白が雲のように感じることからその名が付けられました。
また「飛雲閣」の北側に位置する高台には、格子屋根の付いた展望台、そして立派な彫刻が施された鐘楼があり、現在の梵鐘は二代目です。
特に格子屋根がある展望台からは庭園全体が一望でき、違った目線で「飛雲閣」を正面に眺めることができます。
庭園の東側には茶室「澆花亭(ぎょうかてい)」、「四阿(あずまや)」、「胡蝶亭」があります。
拝観所要時間
今回は京の冬の旅2024の非公開文化財特別公開ということで庭園内でガイドの説明があります。
ちょうど「飛雲閣」正面の散策路でご案内してくださり、説明を聞いた後ゆっくり拝観して30分程度の所要時間でした。
建物内部の拝観が今回できませんでしたが、写真撮影は概ねOKでしたのでゆっくり拝観して写真撮影もさせて頂きました。
西本願寺の拝観とセット、唐門まで見て1時間少々の所要時間がかかります。
西本願寺の見どころ
続いて「飛雲閣」のある西本願寺、その見どころについて紹介しましょう。
正式名称は龍谷山本願寺で宗教法人としての名称は「本願寺」で宗派は親鸞聖人で知られる浄土真宗本願寺派、御本尊は阿弥陀如来をお祀りしています。
御影堂(ごえいどう)
江戸時代に建てられた御影堂はまず、その建物の大きさに圧倒されます。
それもそのはず、江戸期から現代に至る木造建築としては最大級の大きさを誇り、堂内外陣には441畳もある大広間があり、一度に1,200人以上が参拝できるスケールの大きさ。
堂内には227本の柱があり、屋根には115,000枚もの瓦が使用されており、東本願寺の御影堂と並び世界最大級の木造建築として国宝に指定されています。
現在の御影堂は1636年(寛永13)に再建されたもので、1999~2009年(平成21)までの10年をかけて大修復工事が行われたのは記憶に新しいところです。
内陣中央には親鸞聖人の御真影(木像)が安置されています。
阿弥陀堂
阿弥陀堂はその名の通り、阿弥陀如来を御本尊とし、現在の建物は1760年(宝暦10)に再建、1985年(昭和60)に修復が行われました。
堂内外陣は285畳あり、一度に800名以上が同時に参拝できる広さを誇ります。
御本尊の阿弥陀如来の両脇にはインド、中国、そして日本において浄土教の教えを受け継ぐ6人の高僧「六師」が安置されています。
「六師」は「龍樹菩薩」「天親菩薩」「曇鸞大師」「道綽禅師」「善導大師」「源信和尚」の6人。
さらに両余間に法然上人と聖徳太子の影像も安置されており、ぜひお参りしたい場所でもあります。
唐門
2018年から2021年にかけての修復が終わった唐門はその鮮やかで華麗な姿を拝観することができます。
「飛雲閣」からさらに境内を南西方向に進んだ先にその豪華絢爛な門が佇んでおり、前回来た時は工事中でしたが、現在は極彩色に彩られた華麗さに思わず目を奪われます。
安土・桃山時代の建立で1618年(元和4)に移築、西本願寺のなかでも最古の建物といわれ、かつては勅使門としての役割を果たしていました。
その美しさから日が暮れるのを忘れて見とれてしまう「日暮門(ひぐらしもん)」という別名があったほどでその美しさが現代に蘇った必見の建物です。
太鼓楼
唐門とは西本願寺境内の対角線上、東北角にある重層の楼閣が「太鼓楼」で江戸時代の建立。
当時は周囲に時刻を告げる役割があり、内部には第12代・准如の時に金宝寺から寄進された大太鼓が安置されています。
幕末に「池田屋騒動」などでその名をあげて隊士が増え、壬生屯所が手狭になったために西本願寺を屯所としていた新選組にもゆかりがある建物で今での刀傷などが残されています。
本願寺伝道院
西本願寺の御影堂門から堀川通を渡った先に進むと見えてくる聖堂のような建物が「本願寺伝道院」です。
西本願寺の境外にある現在は浄土真宗本願寺派僧侶の布教、研修の道場として使用されている施設でかつては真宗信徒生命保険会社社屋の本館だった建物です。
1912年(明治45)に東京帝国大学教授の伊藤忠太氏の設計で竹中工務店の施工により建築されました。
国の重要文化財に指定されており、建物周囲には龍のような生き物や像の耳が大きな羽になったような生き物など不思議な雰囲気を醸し出す石像があり、中世ヨーロッパに来たような雰囲気が漂います。
※石像も重要文化財の一部とのことですので手を触れないよう注意しましょう。
西本願寺への行き方と駐車場について
西本願寺への行き方は京都駅、私鉄の主要駅からの行き方を以下に紹介していますので参考にして下さい。
京都駅からバスやタクシーを利用する人が多いですが、Kyotaroは歩いていきました。
電車の最寄駅が京都駅なのですが、東本願寺のように5分で行ける距離ではなく、経路が分かってる人で12~13分、初めての人でも早くて15分はかかります。
京都駅烏丸中央口を出て京都タワーに向かって左手に進み、オムロン前を通過してリーガロイヤルグラン京都がある堀川通まで出ます(徒歩5分)。
堀川通を左折(北上)して七条堀川交差点まで来ると左手に「興正寺」が見えてきますのでその北側が「西本願寺」となります(徒歩8分)。
また車でお越しの際は、西本願寺の北側、花屋町通沿いに専用駐車場がありますのでそちらを利用して下さい。
駐車料金は無料となっており、また敷地も広く300台は駐車可能となっています。
●西本願寺(龍谷山本願寺)
TEL:075-371-5181
〒600-8501 京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町
■拝観料金 境内自由(参拝無料)
■拝観時間 5:30~17:00
■アクセス ※京都駅から徒歩13分
・京都駅より市バス9,28,75系統「西本願寺前」下車、すぐ
・京阪七条駅「七条京阪前」より市バス206,208系統「七条堀川」下車、徒歩3分
・阪急大宮駅「四条大宮」より18,71,206,207系統「島原口」下車、徒歩5分
■駐車場 専用無料駐車場完備(300台)
まとめ
西本願寺境内にある通常非公開の「飛雲閣」特別公開の様子を紹介させて頂きました。
有名な金閣、銀閣とならぶ京都「三名閣」のひとつですが、鮮やかな金閣、威風堂々とした銀閣に比べると左右対称ではない独特の建築様式が特徴的な「飛雲閣」。
通常非公開の文化財なのでなかなかお目にかかれませんが、今回初めて拝観することができました。
池に囲まれた美しい雰囲気は金閣寺、銀閣寺と同様ですが、何といっても西本願寺境内にあるということで境内見どころと併せて拝観が楽しめるスポットでした。
風呂敷の語源となった「黄鶴台」など勉強になることも多く、ぜひ次回の公開時には訪れて頂きたい文化財として紹介させて頂きました。
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