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京都在住のブロガーKyotaroです。
京都御所の東、寺町通沿いに佇む「蘆山寺」は源氏物語を執筆したあの紫式部ゆかりの地として有名です。
初夏の桔梗が源氏の庭と呼ばれる枯山水庭園に咲き誇ることで有名、かつ明智光秀公の念持仏がある寺院としても知られています。
今回は2024年京の冬の旅特別公開に合わせて訪問した際の様子をシェアします。
蘆山寺とは紫式部邸宅址、源氏物語執筆の舞台へ
まずはじめに蘆山寺の歴史と紫式部とのゆかりについて紹介しましょう。
現在、蘆山寺がある場所は紫式部邸宅址と云われ、この地で紫式部は長い間過ごしたといいます。
あの源氏物語が生まれたのも現在の蘆山寺がある場所というわけで「源氏物語執筆地」と云われています。
蘆山寺は本当に紫式部邸宅址なのか?
現在の蘆山寺がある場所、ここが本当にかつての紫式部邸宅だったのか?紫式部邸宅址と呼ばれる明確な理由があるのか?
紫式部邸宅といえばもとは曽祖父にあたる藤原兼輔(堤中納言)の屋敷であったこと、京都御所のすぐ近くにあること、そして紫式部は曽祖父の藤原兼輔の屋敷で幼少期を過ごし育ったことを考えても何となくそうなのかな?と思ってしまうのも無理ありませんが。
記録としては四辻善成の「河海抄(かかいしょう)」に紫式部邸の場所について「正親町以南、京極西頬、今東北院向也」という記述があることから、現在の蘆山寺がある地を紫式部邸宅址と推定しています。
すなわち紫式部の曽祖父にあたる藤原兼輔(堤中納言)の屋敷であったが、紫式部の父、藤原為時にこの屋敷を譲り、その後は紫式部がこの邸宅で人生の大半を過ごすことになった、ということです。
蘆山寺と紫式部と源氏物語
この地で暮らしていた紫式部もやがて結婚し、子を授かり、ここで生活をしながら「源氏物語」や「紫式部日記」を執筆していたのではないか?という説が有力視されています。
特に紫式部の夫・藤原宜孝が亡くなってから「源氏物語」を執筆したと云われており、結婚を経て親となり、夫を亡くした紫式部は様々な想いを乗り越えて書き上げた作品なのかもしてません。
蘆山寺がこの地に建てられたのは平安時代からはるかに後の時代、豊臣秀吉が世を納めていた安土桃山時代に移築されたものと云われており、移築された場所が紫式部邸宅址があったとされる現・蘆山寺がある場所。
もとは938年(天慶元)に慈恵大師良源(元三大師)が船岡山南麓に開いた與願金剛院が始まりで1245年(寛元3)、法然上人に帰依した住心覚瑜上人が出雲路に蘆山寺を開き、この二ケ寺を兼務した明導照源上人が蘆山寺を與願金剛院に統合し、現在の蘆山寺となったのです。
統合された寺院は正式名称を「廬山天台講寺」とし、現蘆山寺の正式名称となっています。
蘆山寺にある「源氏の庭」はそんな平安時代の貴族邸を模した枯山水庭園となっており、庭園内の松の木の下には紫式部邸宅址と記された顕彰碑がありますので訪れた際にはぜひ注目してみましょう。
蘆山寺の歴史、なぜ山門の正面に元三大師堂があるの?
蘆山寺を訪ねてみると山門から正面に見えるのが本堂と思ってしまいそうになるのですが、実はこの建物は蘆山寺の前身寺院であった與願金剛院を創建した慈恵大師良源(元三大師)の名前からとった元三大師堂です。
創建当時、比叡山天台18世座主であった慈恵大師良源は天慶年中に船岡山南麓に與願金剛院を創建したのがはじまりと云われています。
よって蘆山寺の元三大師堂には、元三大師がお祀りされ、その前には角をはやした鬼の姿をした角大師がお祀りされており、今回の特別拝観ではその様子を拝観することができます。
普段の元三大師像は扉付仏壇に祀られており、拝観することが出来ませんが、毎月3日に元三大師堂では護摩が行われており、どなたでも参加できるようになっています。
歴史的に見ても戦乱による焼失は免れず、応仁の乱で焼失後、再び信長の比叡山焼き討ちの際に焼失の危機がありましたが、正親町天皇の女房のご尽力で焼き討ちをの危機を免れ、現在の地に移築されてきた歴史があります。
現在の本堂は度重なる焼失を経て光格天皇が仙洞御所の一部を移築、造営されたものと云われています。
蘆山寺特別公開の見どころは源氏の庭と元三大師堂
続いて蘆山寺で2024年新春から行われている京の冬の旅特別公開の見どころについてみていきましょう。
蘆山寺は紫式部ゆかりの寺院ではなく、紫式部邸宅址に建つ寺院ですが、紫式部を偲ぶ施しが境内にはたくさんあるので紹介していきましょう。
源氏の庭
源氏の庭では軒先に座ってのんびり庭園を観賞できるようになっており、白砂に苔の緑が映える美しい枯山水庭園となっています。
最も有名なのが明智光秀公の家紋にもなっている桔梗の花が有名で毎年、6月末から9月初旬にかけて境内には紫色の可憐な花が結構な規模で咲き誇り、この桔梗が目当てで訪れる人も非常に多いです。
また秋には隠れた紅葉名勝としても人気があり、枯山水庭園の白砂、苔の緑、紅葉とのコントラストがまた普段とは違う景観を織りなす様子は必見の価値ありです。
京都は有名な紅葉名勝が他にもたくさんあるので案外、穴場になっていたのですが、2024年秋は紫式部人気で多くの人で賑わいそうですね。
先にも紹介の通り、平安時代の貴族文化を反映した高貴な庭園の雰囲気が漂っており、松の木の下にある石、これ実は顕彰碑になっており、「紫式部邸宅址」の文字が刻まれています。
その他、本堂では源氏物語絵巻(複製)の展示もあり、見どころ盛りだくさんとなっていますが、堂内の撮影は一切禁止となっていますので、実際に行って鑑賞するしかありませんね。
元三大師堂
山門の境外から見ると一見、本堂のように見えるお堂が「元三大師堂」で蘆山寺の始まりでもある與願金剛院を創建した元三大師をお祀りする、通常非公開の場所です。
また元三大師像も普段は扉付仏壇に祀られており、拝観することは叶わず、今回の京の冬の旅特別公開では拝観することができるので源氏の庭と併せて大きな2つの見どころとなっています。
堂内はとても厳かな雰囲気でロウソクの明かりだけが頼りの真っ暗な雰囲気となっています。
入口すぐ右手には明智光秀公の念持仏も公開されており、以前の特別公開時には本堂に安置されていたのですが、今回は元三大師堂で拝観することが叶いしました。
紫式部、大貳三位の歌碑
元三大師堂から蘆山寺本堂の入口へ向かう正面には紫式部、大貳三位の歌碑があります。
大貳三位とは紫式部の娘である賢子のことで親仁親王の乳母となり、従三位典侍に昇進、かつ大宰大貳・高階成章と結婚したため宮廷での呼び名が大貳三位となります。
歌人としての才にも恵まれ、母親である紫式部に匹敵するほどとの評価を得ており「大貳三位集」を執筆した。
歌碑には大貳三位、そして紫式部の歌が順にそれぞれ記されています。
訪ねたのは1月下旬でしたが、顕彰碑近くの梅の花はちらほら、咲き始めていました。
御朱印
蘆山寺の御朱印はもともと御本尊の「元三大師」と「紫式部邸宅址」のふたつしかなかったのですが、現在は弥陀三尊、如意輪観音(洛陽三十三観音・第三十二番)、「金山毘沙門天(京都七福神)」の5種類があります。
Kyotaroは今回「紫式部邸宅址」の御朱印(300円)を授かりました。
蘆山寺オリジナルの源氏物語・御朱印帳(2,000円/2,200円)、普通の御朱印帳(800円)や源氏物語の便箋、トランプ、角大師の護符などが販売されており、多くの人で賑わっていました。
御朱印は書置きではなく、すべてその場で書いていただくため、番号札を発行しての順番待ちとなっていました。
御朱印料はすべて300円で番号1から5までどの御朱印が希望か?を伝えて御朱印帳を渡して、その場で御朱印料を納めます。
時間帯によっては行列ができてるので朝一番や拝観終了間際が比較的空いています。
蘆山寺へ京都駅からの行き方と駐車場について
蘆山寺への京都駅からの行き方は、市バスもしくは市営地下鉄烏丸線を利用するのが便利です。
京阪電車の場合は途中乗り換え等もあり、少し回り道となり、駅からも15分強歩くため、あまりお勧めできません。
市バス利用なら最寄りバス停の「府立医大病院前」から歩いて5分程度といちばん便利でわかりやすいアクセス方法としておすすめします。
また市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」からは徒歩20分ほどかかるのですが、京都御所の苑内を散策しながら歩いて行くと20分程度の徒歩移動ならあっという間に着いてしまいますのでこちらもおすすめです。
京都駅から乗り換えも市バス、市営地下鉄ならスムーズにわかりやすいのでおすすめですが、市バスはコロナ終息後、インバウンドが急激に回復してきてるので春のシーズン、秋のシーズンは時間が読める地下鉄の利用をおすすめします。
※Kyotaroならシーズン中は、徒歩で鴨川沿いを北上するか、烏丸通をまっすぐ御所まで北上する方法をとります。
●蘆山天台講寺(ろざんてんだいこうじ)
TEL:075-231-0355
〒602-0852 京都府京都市上京区北之辺町397
■拝観料金 大人500円 小中学生400円
※2024年1月6日~3月18日・第58回京の冬の旅非公開文化財特別公開
中学生以上800円 小学生400円
2月1~9日、3月3日は拝観休止、要注意
期間中の拝観は9:00~16:30
■拝観時間 9:00~16:00(通常期)
■アクセス 市バス「府立医大病院前」から徒歩5分
・京都駅から4・17・205系統乗車「府立医大病院前」下車
・四条河原町から3・4・17・205系統乗車「府立医大病院前」下車
・京阪鴨東線「神宮丸太町駅」下車、鴨川渡って徒歩15分
・市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」より徒歩20分
■駐車場 なし※周辺コインパーク、又は京都御所駐車場を利用
まとめ
今回は蘆山寺を紫式部を偲ぶ角度から紹介をさせて頂きました。
平安時代に創建され、とても歴史の古い寺院ですが、創建の元三大師は疫病退散のご利益を授かることができるということでKyotaroも比叡山延暦寺でお参りするなどしてきた馴染みある御本尊です。
拝観料は通常拝観と特別拝観で金額が異なるため、訪れる際は事前に最新情報を確認してから行くようにして下さい。
京都御所や寺町通を挟んだ向かい側には梨木神社もあり、周辺観光も充実のエリアで、目の前の寺町通はまっすぐ南へ下がると京都の繁華街、四条河原町にも行くことができます(徒歩25分程度)ので歩ける、という方はぜひお試し下さい。
京都の街は歩いてるだけで所々いろんな石碑が建っていて、歴史を感じながら歩くことができるのが楽しみの一つでもあります。
2024年は紫式部の効果で盛り上がること間違いなし、蘆山寺の紹介でした。
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