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京都在住のブロガーKyotaroです。
秋の京都特別拝観、特別公開の中から今回は重森三玲によって復元された真如院庭園の特別公開を紹介。
五条堀川交差点、京都東急ホテル近くの住宅街に佇む、年に数日しか公開されない通常非公開寺院で独特な表現法を用いた枯山水庭園とは?
詳しく見ていきましょう。
真如院庭園の特別公開
真如院は京都市下京区、五条堀川近くにあるとても小さな寺院です。
毎年10月の限られた週末しか公開されない、とても希少な特別公開が行われる、独特な表現法を用いた枯山水庭園が有名な寺院。
山門もとても小さく、庭園特別公開の張り紙がされていますが、本当にわかりにくいです。
足利義昭、織田信長にゆかりがある旧跡、そして造園界の権威として昭和に活躍した重森三玲によって復元作庭された枯山水庭園が見どころとなっています。
真如院本堂参拝
山門を入ってすぐの場所にも白砂が敷かれており、限られた空間にも美しさが漂います。
住宅街の真ん中あるため、入口もとてもこじんまりしており、京都の観光寺院のような豪勢で立派な感じは一切ないです。
拝観受付前に「写真撮影・喫煙禁止」の案内がありましたが、奥の庭園では参拝者が写真撮影をしてるのが見えたため、確認したところ、堂内は撮影禁止、堂内から庭園に向かっての撮影は問題なしとのことでした。
拝観受付後、すぐ横にある本堂参拝所で御本尊をしっかりお参りしてから奥の庭園へ。
当たり前のことですが、たまに本堂御本尊の参拝をせず、素通りして庭園へ進む人がいるようです。
お寺へ来た時の基本はやはり、先に御本尊参拝後、その他の施設を拝観することですから注意しましょう。
真如院の歴史
真如院は日蓮宗大本山本圀寺の元塔頭で1535年(天文四)4月に日映上人のよって創建。
1560年(永禄3)足利十三代将軍義輝が本圀寺で天下太平の祈願を行った際、後の足利十五代将軍、義昭も参詣、真如院を宿院としていました。
1568年(永禄11)に織田信長が上京、京都の人心掌握のため、当時の将軍であった足利義昭を表面たてるため、宿院としていた真如院に名庭を造らせて歓心を買ったと云われています。
織田信長は足利義満の金閣寺、足利義政の銀閣寺など足利歴代将軍が持っている深い造詣に注目したと云われています。
創建翌年の1536年(天文5)に天文の法難によって全焼、その後再建されるも江戸時代1788年(天明8)の京都大火によって再び焼失します。
1789年(寛政年間)に再建、さらに1832年(天保3)に新築、1934年(昭和9)寺院内部を大改築後、1949年(昭和24)に現在地へ移転という歴史があります。
真如院庭園、独特な表現法を用いた枯山水の見どころ
続いて真如院庭園の見どころについて紹介します。
正直、ロケーションが良い、景観が素晴らしい借景庭園ほどの豪華さはなく、限られたスペースにコンパクトに造り上げられた庭園という印象です。
周囲は住宅街、マンションに囲まれたロケーションです。
独特な表現法を用いた枯山水とは?
真如院庭園の最大の特色は、鱗石を敷き詰めており、庭園向かって右から左へと川の流れを表現した枯山水庭園です。
通常の枯山水庭園は白砂や小石を用いることが基本ですが、真如院の場合は他に例を見ない独特の表現法となっているのです。
真如院の枯山水は平安時代の池庭、枯山水(白砂)、枯山水(小石)、枯山水(鱗石)、そして江戸期の池庭と元の池庭に戻っていく道筋と考えられています。
織田信長が見込んだ作庭家なので当代一流であったのは当然、といえば当然だったのかもしれません。
庭園内に配置された名石と石造美術
真如院庭園は一見、小さな寺院にある本当にコンパクトな長方形の庭園という印象を受けます。
しかしながら、名石や石造美術が随所に配置されていることから由緒ある庭園であることを伺い知ることがができます。
詳しく見ていきましょう。
烏帽子石
庭園中央の築山の上に向かって右肩が白くなっている石が「烏帽子石」です。
この石は真如院にゆかりのある足利十五代将軍、義昭公が本圀寺から持ち込んだ烏帽子石と云われています。
義昭公も参詣したという、1560年(永禄3)の十三代将軍足利義輝による本圀寺での天下太平の祈願。
義昭公が真如院を宿院とする際、本圀寺より「烏帽子石」を運び込んだとの記載が「山州名跡志」に残されています。
また「都林泉名勝図会」には「足利義昭公、烏帽子を掛け置き給ひし石なり」との記述も残されており、名石であることが伺い知れます。
爪実燈篭
庭園中央手前にある、まるでラグビーボールのような形をした一風変わった燈篭があります。
これが「爪実燈篭」で「都林泉名勝図会」には「足利将軍義昭公の銘なり。その高さ台共に二尺二寸三分、広き所回り三尺二寸五分」との記載があります。
庭園中央にあり、変わった形の燈篭のため、その存在感、インパクトは十分すぎるほどです。
呼子手水鉢
庭園右奥にある長細い手水鉢。
その名の由来は、前側面左右にそれぞれ「父」「母」の文字、中央に「子」の文字が陽刻されている文字に由来。
それらの文字から幼くして亡くした子のため両親が墓所に奉納したものではないか?との考えから「呼子手水鉢」の名が付けられたと云われています。
とても古く歴史を感じさせる遺構であることが、近くで見ることができるのでわかります。
真如院へのアクセスと駐車場について
●真如院
TEL:075-811-0088
〒600-8357 京都府京都市下京区猪熊五条上柿本677
■拝観時間 ※通常非公開
■特別公開 例年10月土日の6日間程度の特別公開
■拝観時間 特別公開時は10:00~15:00まで
■拝観料金 特別公開600円
■アクセス 堀川五条バス停から徒歩3分 ※住宅街の中
・阪急京都線「大宮駅」下車、徒歩10分
・市営地下鉄烏丸線「五条駅」下車、徒歩10分
・京都駅より市バス9系統「堀川五条」下車、徒歩3分
・JR嵯峨野線「丹波口駅」下車、徒歩14分
■駐車場 なし ※周辺コインパーク利用
まとめ
秋の京都特別公開シリーズの中でも10月中のわずか数日しか公開されない真如院庭園特別公開の様子を紹介させて頂きました。
真如院を訪ねた際には山門の屋根瓦に注目してみましょう。
京都ではよく屋根瓦といっしょに魔除けの縁起物「鍾馗(しょうき)」さんが乗っていますが、真如院ではフルーツの「桃」が乗っています。
実は庭園内にあるふたつの傘燈篭にもそれぞれ「桃」が乗っていますが、なぜか?は実際に真如院を訪ねてみるとわかります。
ぜひ、訪ねた際にはそういったところも楽しんでみて下さい。
京都駅からは市バス、もしくは市営地下鉄を利用するのが便利です。
通常非公開寺院のため、10月特別公開時期以外は拝観ができないのでぜひ、秋の特別公開の際にはチェックしてみてはいかがでしょうか。
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