京都大好きブロガーのKyotaroです。
ここ数日は全国的に大雨の日が続いてますね。
京都でも叡山電車の沿線や京都縦貫道の沓掛付近の土砂崩れなど被害が出ており、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて今回は梅雨の雨が似合う庭園の期間限定・特別拝観へ行って来ました。
建仁寺塔頭両足院の特別拝観で半夏生の庭園に酔いしれる
京都も7月上旬は大雨続き、鴨川も増水して氾濫寸前までの水量になっていました。
雨あがりの花見小路を抜けて真っ直ぐ、建仁寺山門を目指します。
今回の目的は雨あがりが美しいという“半夏生の庭”を拝観すること。
建仁寺塔頭両足院
建仁寺山門を入ってすぐのところ、建仁寺庫裡の手前に「両足院」があり、とても分かりやすい特別拝観の案内があります。
2020年6月20日(日)から7月19日(日)までの期間限定で初夏の特別拝観が開催中、この時期と冬季の年2回しか両足院は一般公開されません。
山門はとても小さく、入って左手に毘沙門天を祀るお堂があります。
入口から入場しますが、庭園散策があるので靴を入れるビニール袋を一緒に持って入ります。
雨に映える“半夏生の庭”散策
方丈と庫裏の間にある中庭「閼伽井庭」と白砂の美しい波紋と苔、松が印象的な「唐門前庭園」を経て「半夏生の庭」へ。
庭から眺める方丈や書院の風景が見ることができるのは初夏の特別拝観ならではの醍醐味。
緑苔と庭園の緑に映える“半夏生の花”、池泉がとても美しいです。
晴れの天気より、雨が似合う庭園とはまさにこの「両足院」の池泉式回遊庭園のことですね。
特別拝観ならでは美しい庭園散策を満喫
“半夏生の庭”は京都府指定名勝の池泉式回遊庭園で葉っぱが緑から白、そして再び緑に戻る“半夏生”がこの季節に彩りを添えます。
まるで新緑に映える“水芭蕉の花”にどこか似ているような。昔、お客様をご案内した尾瀬ハイキングを思い出します。
庭園奥の細い通路を辿り、書院の正面から茶室「臨池亭」へ。
ここの茶室はもともと高台寺の木村家別荘の茶室を昭和元年に移築したもの。
書院前を通り抜けて再び方丈へ戻る、庭園一周散策ルートを楽しめますが、書院でのんびりしてる人の前を池越しに通過するのが「景観ぶち壊し!?」で少し気が引けましたが。
建仁寺両足院の書院から眺める梅雨時が美しい庭園
方丈から書院へと見学順路を進めていきます。
方丈には大きな広間があり、こちらでは坐禅体験もできるそうです。(要事前予約/開催日時はホームページで確認を)
方丈から書院へと通路を進めると手水鉢があったり、京都の寺院ならではの風景が広がります。
今度は書院からのんびり“半夏生の庭”を眺めることができます。
庭園散策時はどことなく上から書院を見降ろす感じ、書院からは庭園を見上げる形となります。
半夏生の緑と白のコントラスト、まるで絨毯のように生い茂る“緑苔”と庭園の緑、池泉に映える緑、まさにグリーンの世界は他の庭園と違うものがあります。
書院内はやや薄暗いのでそこから眺める庭園は緑が眩しく、さらに“半夏生の庭”の美しさを引き立てます。
書院には「半夏生観音図」があり、とても優しい穏やかな観音様を描いた掛け軸です。
“半夏生=汎下生”をあらわします。
“汎”とはあらゆる人々に救いの手を差し伸べられる観音様をあらわします。
“下生”とは半夏生の葉が緑から白に変わる姿を観音様の変化そのものになぞらえ、観音様のお姿そのものをあらわします。
奥が深い教えですが“半夏生の庭”に込められた観音様を祀るお寺の思いがあるのですね。
もう一点、書院には掛け軸があるのですが、黒地に白で描かれた蜘蛛の掛け軸。
“スパイダーマン”“蜘蛛男”でもいるのだろうか…。
建仁寺両足院の縁起について
両足院は建仁寺の塔頭寺院で、建仁寺を創建した臨済宗の開祖栄西の墓所を直系の弟子たちによって守塔された寺院であり、当時は「知足院」という名称でした。
御本尊は阿弥陀如来をお祀りしています。
龍山徳見がお亡くなりになった1358年にその墓所を栄西が眠る墓所・護国院とは区別して現在の寺域となりました。
1536年の火災による焼失までは「知足院」という名称でしたが、再建に伴い「両足院」と改称、その後も幾多の災害による修復、再建によって現在に至ります。
現在の方丈は白木屋大村彦太郎の寄進によって1850年から数年をかけて再建されたもの。
両足院には「饅頭始祖の寺」というもうひとつ面白いエピソードがあり、龍山徳見の弟子に中国の林浄因という僧がいて、龍山徳見和尚の帰国とともに来日したことに由来します。
龍山和尚と来日した林浄因は両足院にて「饅頭」の文化を日本に伝えたと云われ、このことによって日本に「饅頭」が広まったといいます。
また山門入ってすぐ左手にある毘沙門堂は、軍師として有名な黒田官兵衛の長男である黒田長政公に由来します。
黒田長政公が徳川軍に加勢した関ヶ原の戦いにおいて、出陣の際に毘沙門天像を内兜に収めて奮戦、勝利したことから代々黒田家で信仰されてきたという毘沙門天。
その後、明治維新の変革に伴い明治10年前後に両足院に寄進された毘沙門天が境内に祀られているというわけです。
両足院へのアクセスと駐車場について
■両足院
TEL:075-561-3216
〒605-0811 京都府京都市東山区小松町591
拝観時間 10:00~16:00
※2020年6月20日~7月19日特別公開期間
拝観料金 一般1,000円 中高生500円
※小学生以下は無料
※上記は2020年3密対策の拝観料
アクセス
・京阪京都線「祇園四条駅」下車、徒歩7分
・阪急京都線「京都河原町駅」下車、徒歩10分
・市バス「京都駅」発206・100系統に乗車
「東山安井」下車、徒歩5分
「南座前」下車、徒歩7分
「祇園」下車、徒歩10分
「清水道」下車、徒歩10分
駐車場 建仁寺有料駐車場あり※30分250円
まとめ
両足院の特別拝観で“半夏生の庭”を散策して来ました。
なかなか貴重な体験で美しい池泉式回遊庭園をのんびり散策させて貰えて感激しました。
特に“半夏生”と“汎下生”が観音様のお姿に重なる教えはとても奥が深く、両足院を訪ねて良かったと思える瞬間でしたね。
毎年、初夏と冬季の特別拝観でしかお目にかかれませんので、また来年も訪ねたいと思います。
もともと参拝者が少ない寺院なので平日朝一番の時間帯を選んでいけばほとんど貸切状態での拝観が楽しめます。
今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響、そして梅雨の大雨の影響もあり、訪ねた日はたまたま参拝者も少なく、ゆったり観光することができました。
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