京都在住のブロガーKyotaroです。
街中にある寺院は京都でもよくある風景ですが「紫雲山頂法寺六角堂」はオフィスビルの谷間に佇む西国三十三ケ所・第十八番札所です。
ビルの谷間にあるため烏丸通(からすまどうり)からは全く見えず、あまり目立ちませんが、境内に入ると“六角堂”と呼ばれる六角形の本堂は存在感が半端ないです。
ビルの谷間にあり、圧迫感がありますが、境内は見どころも多く、諸堂や鎮守社などが複数あります。
京都・六角堂の見どころを紹介
京都・六角堂は聖徳太子が創建、親鸞上人百日参籠の地、そして“いけばな発祥の地”として京都でも有名な“いけばなの根源・華道家元池坊”ゆかりの地でもあります。
オフィス街の高層ビルの谷間で霊験あらたかな観音さま、お地蔵さまをお参りしていると時代の流れを感じずにはいれませんね。
詳しく見ていきましょう。
六角堂(本堂)
六角堂山門を入った正面の建物が本堂で六角形の形をしたこのお寺の代名詞になっています。
現存するのは1877年(明治10)に再建されたもので正面に拝堂が付属し、2019年3月に京都市指定有形文化財に指定。
六角堂御詠歌に歌われる“六の角”は六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)によって生じる六欲を表し、これらを捨てて角を無くし、円満になる「六根清浄」の願いを教えとしています。
御本尊は秘仏の如意輪観音坐像で聖徳太子の念持仏と云われ、脇侍は重要文化財の毘沙門天立像と地蔵菩薩立像です。
街中の喧騒の中にありながらも静寂に包まれた境内で観音さまにお参りできる場所は他にはなかなかありませんね。
六角堂 十六羅漢
羅漢とは仏の教えを護り伝えることができる優秀なお坊様にのみ与えられた称号です。
この十六羅漢は方位の四方八方を倍にした十六を表し、あらゆる場所に羅漢様が居ることを意味しています。
可愛らしくどこか愛嬌のある羅漢像が十六体、並ぶように安置されています。
羅漢像は皆、笑顔なのですが、これは「和顔愛語」の教えから来るもので、いつも笑顔で穏やかに話すように心がけることで必ず良い報いがあるという教えによるものです。
合掌地蔵
手を合わせて、その手に願いをささやき吹き込み、お地蔵様の力を信じて願えば、お地蔵さまは力を貸してくれる、という教えがあります。
この「合掌地蔵」はお参りに来た人の願いを手のひらで優しく包み込んでその願いがかなえられるよう一緒にお参りしてくれていることを表しているのです。
京都ではお地蔵さまは子供たちの味方という言い伝えがありますが、大人の願いもしっかりした信心を以てお願いすれば聞き入れて下さるんですね。
※参拝に訪れた時は台座のみでお地蔵さまはいらっしゃいませんでした。
一言願い地蔵
にこやかに首を斜めにしておられる地蔵様。この姿は、お参りに来た人の願いを叶えてあげようか?どうしようか?と穏やかに考えておられる姿を表しているのです。
そう、あれもこれも欲張ってお願いするのではなく、誠心誠意ひとつだけ願い事をすればきっと叶えて下さる、というお地蔵さまです。
欲張ってお願いしてもお地蔵さんは優しい顔をして願いを聞き入れてくれないんですね。
親鸞堂と親鸞上人像
鎌倉初期の1201年(建仁元)に親鸞上人が六角堂に参籠して浄土真宗を開くきっかけとなったことを受け、六角堂には姿の異なる親鸞像を二体安置した「親鸞堂」があります。
一体は草鞋を履き比叡山から六角堂へ向かわれた姿、もう片方は六角堂にでの百日参籠の際に如意輪観音から夢の中でお告げを受けている姿といいます。
お堂の前には親鸞上人の像があり、比叡山から六角堂で参籠されて再び比叡山に戻られる百日参籠をしていた時のお姿を表す像です。
唐崎社
六角堂境内にある鎮守社で御祭神は唐崎明神。比叡山延暦寺とも深い関わりがあり「唐崎の松」で有名な琵琶湖畔にある唐崎神社の神様を祀っています。
八坂神社を表す「祇園社」と北野天満宮を表す「天満社」の神様が合祀された社となっています。
日彰稲荷
京都市中京区の日彰学区に関係があり、学区民と高倉小学校の子どもたちの健やかな日々と地域の安寧・繁栄を祈願するためのお社。
日彰祭賛会が毎年行われる「初午祭「や「御火焚祭」の際に八坂神社より神官を招聘されます。
太子堂
六角堂の本堂の背後にある池に浮かぶ建物で六角堂を創建した聖徳太子を祀り、別名「開山堂」とも呼ばれます。
平安時代に京都における聖徳太子信仰が広まる拠点となった場所でもあり、堂内には聖徳太子の幼少時代の像、青年時代の像、物部守屋と戦った時の騎馬像が安置されています。
太子堂が浮かぶ池にはなぜか大きな白鳥が二羽も飼われているようです。オフィス街の真ん中に御堂と白鳥というアンバランスな光景がここでは見ることができます。
北向き地蔵
京都御所を守るために御所のある方角、北を向いてるお地蔵さま。御所を護る=人々の生活を守ることに繋がる、すなわち私たちの生活を守って下さる霊験あらたかなお地蔵さま。
境内、本堂の西側には他にも複数の南無地蔵が安置されています。
石不動
大日如来が一切の悪魔を降伏させるために怒りの形相と強い法力を持つ存在に姿を変化させた不動明王。
六角堂境内、本堂の左手にはこの不動明王の石像と木像をそれぞれ安置したお堂が隣接し合って建っており、境内の一角にてその存在感を示しています。
へそ石
本堂前にある柳の木付近にある礎石が六角堂の「へそ石」です。
もとは門前の六角通にあったのですが、明治時代に境内に移動したもので六角堂が京都の中心とされたことから「へそ石」と呼ばれるようになりました。
平安京造営時に本堂の位置にどうしても道を通すために祈願したところ、本堂が少し北側へ移動し、元の場所に石が残っていたという伝説が六角堂には残ります。
京都・六角堂の歴史と御利益について
京都・六角堂創建の歴史と親鸞上人が浄土真宗を開くきっかけとなった背景、そして西国三十三ケ所・第十八番札所にもなっており、その御利益についても見ていきましょう。
聖徳太子が創建した六角堂
聖徳太子の念持仏は兵庫県淡路島に漂着した“如意輪観音像”ですが、六角堂の御本尊にもなっています。
創建のきっかけになったのが聖徳太子が四天王寺建立に当たり、材木を求めて京都を訪れられた事にあると云われます。
京都のこの地を訪れた際、池で身を清めようと念持仏を木に掛けたところ、この地にとどまり人々救いたいとのお告げがあり、念持仏が動かなくなったといいます。
お告げに従い、聖徳太子はこの地に“如意輪観音像”を安置するために六角形をした御堂を建て安置したのが“六角堂”の始まりと云われます。
後に後白河法皇が「梁塵秘抄」のなかで「観音験(しるし)を見する寺」として六角堂の名を挙げられたことから、「京の七観音」をはじめ「西国三十三ケ所観音巡礼」や「洛陽三十三ケ所観音巡礼」の霊場にも選ばれている。
親鸞上人の百日参籠とは?
鎌倉初期に比叡山の修行僧であった親鸞は聖徳太子に深く尊敬の念を抱いており、1201年(建仁元)に聖徳太子が創建した六角堂に百日参籠する誓いを立てます。
百日参籠とは夜になると比叡山を下りて六角堂に籠り、翌朝には比叡山に戻ることを百日繰り返すという過酷なものであったと云われます。
この百日参籠の九十五日目の暁に如意輪観音が夢の中に登場し、お告げを受けて親鸞は浄土真宗を開くきっかけを得たといいます。
六角堂御本尊「如意輪観世音菩薩」の御利益
六角堂の御本尊「如意輪観世音菩薩」は文字通り、思いのまま願い事を叶えてくれる「如意宝珠(宝珠)」と魔を打ち砕く「法輪(輪宝)」を持っておられます。
そのことから人々の苦しみを取り除き、願いをかなえる御神徳があり、寿命を延ばす長寿、子宝に恵まれ難産を緩和する安産、そして魔除けの御利益があるとされています。
また、境内の「六角柳」が“縁結びの柳”といわれ、“縁結びの柳”の枝2本をおみくじで結ぶと恋が成就する、良縁に恵まれる事から恋愛運の御利益もあります。
他にも玉の輿に関する運、金運などにもご利益があるとされ、幅広い信仰を集めるお寺でもあります。
紫雲山頂法寺へのアクセスと駐車場について
■紫雲山頂法寺六角堂
TEL:075-221-2686
〒604-8134 京都市中京区堂之前町248
拝観時間 6:00~17:00(納経8:00~17:00)
拝観料金 境内自由
アクセス 京都駅から地下鉄が便利
・市営地下鉄「烏丸御池駅」下車、駅5番出口から徒歩3分
・阪急京都線「烏丸駅」下車、駅21番出口から徒歩5分
駐車場 なし ※周辺コインパークを利用
まとめ
西国三十三ケ所霊場・第十八番札所の“六角堂”の紹介でした。
地下鉄の「四条駅」と「烏丸御池」の中間点にあり、周辺はオフィス街、一筋東へ入ると京都大丸や京の台所錦市場にも歩いて行けます。
正式名称は「紫雲山頂法寺」で聖徳太子が創建、親鸞上人にもゆかりがある霊験あらたかなお寺として数多くの参拝者が訪れます。
すぐ隣にある商業ビルは“WEST18”というビルでここのエレベーターからは六角堂境内を真上から眺めることができます。
ちなみにこの“WEST18”の名称由来は西国三十三ケ所18番札所から来てるようです。
境内にある“京都のへそ”をあなたもぜひ探してみて下さい。
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