京都在住のサラリーマン・ブロガーKyotaroです。
今回は「季節を感じながら京都を歩くモデルコース」の嵯峨野編をお届けします。
嵯峨野は嵐山と観光セットで訪ねる人も多いと思いますが、嵯峨野とその先のエリア、“嵯峨鳥居本保存地区”いわゆる「奥嵯峨」と呼ばれるエリアまでを歩くコースの紹介です。
「奥嵯峨」は祇王寺のあるエリアよりさらに静かなエリアで愛宕山登山口のあたりまでのエリアとなります。
嵯峨野めぐりの起点、野宮神社から効率よくめぐるハイライトコースの見どころをまとめました。
嵯峨野めぐり起点「野宮神社」は源氏物語ゆかりの地
今回のスタート地点は、竹林の小径途中にある「野宮神社」から。
ここは“嵯峨野めぐり起点”と“洛西随一苔のじゅうたん”で有名な学問、縁結びと安産祈願のお社です。
縁結びや安産祈願にご利益があることから女性、もしくはカップルでの参拝客が非常に多い神社ですが、境内が決して広くない為、紅葉シーズンは境内から人が溢れんばかりの状態になります。
源氏物語の世界観を表す黒木鳥居こそ野宮神社のシンボル
学問成就、縁結び、安産祈願もさることながら、境内には見どころがいくつかあるので紹介しましょう。
まずひとつ目は神社入口にある“黒木鳥居”です。黒木鳥居は形式としては歴史上、日本最古の鳥居といわれ、樹皮が付いたままの鳥居の事をいいます。
野宮神社の鳥居は“くぬぎ”を使用し、三年ごとに建替えをしていましたが、鳥居に適した“くぬぎ”が減り、鳥居に適した樹がなかなか見つかりませんでした。
それでも何とか野宮神社のシンボルとも言える源氏物語の世界観を表す“黒木鳥居と小柴垣”の景観を守りたいという思いから香川県の企業が立ち上がったのです。
現在の鳥居は香川県高松市にある「日本興業株式会社」が徳島県剣山の山麓から切り出した「くぬぎ」を防腐加工を施し、寄進した特別な“黒木鳥居”なのです。
嵯峨野めぐりは野宮のじゅうたん苔から始まる?
野宮神社のもうひとつの見どころは源氏物語の世界を想起させる美しい“じゅうたん苔”。
緩やかな起伏のある美しい苔庭が野宮神社境内奥にあり、白石の枯流れにかかる木橋がさりげなく庭園としての風情を演出しています。
決して規模は大きくないのですが、神社の看板には“洛西随一”の文字が入っており、ちょっと苦しいかな?という印象もします。
規模は極小ですが、美しい幻想の世界へ誘われるかのような美しい苔緑は素晴らしく、写真に収めたい風景であることは間違いありません。
<渡月橋から野宮神社へのルート>
嵯峨野めぐりのハイライトは落柿舎と二尊院
野宮神社をスタートして竹林の小径を抜けると嵯峨野エリアに入ります。
嵯峨野を代表する寺院である「二尊院」と「落柿舎」は特に秋は外せないスポットですね。
嵯峨野にある草庵「落柿舎」
「落柿舎」は松尾芭蕉の弟子として有名な向井去来の別荘として使用されてた草庵です。
名前の由来になったのは“庵の周囲の柿が一夜にして全て落ちた”ことによると云われています。
松尾芭蕉もこの地を3度訪れては滞在しながら「嵯峨日記」を書き上げたという芭蕉ゆかりの地でもあるのです。
「二尊院」は嵯峨野屈指の紅葉名勝
「二尊院」は正式名称を「小倉山二尊教院華台寺」といいます。
「紅葉の馬場」が紅葉名勝として有名なのですが、総門から紅葉の馬場を抜け、勅使門から境内に参拝者も入ることができる珍しい寺院でもあります。
境内から勅使門越しにみる紅葉はポスターにも起用されるほど美しく、燃えるような圧巻の景観を誇ります。
基本的に境内は小倉山の自然のなかにあるため、11月下旬になると燃えるような紅葉が境内のあちこちを真紅に染め上げ、圧巻の景観が広がります。
「二尊院」本堂には二如来像が安置されている?
二尊院には御本尊が二体あり、それが寺号の由来にもなっています。
これは仏教の「発遣来迎(はっけんらいごう)」が関係してるという「発遣釈迦如来像」と「来迎阿弥陀如来」の二尊が並んで本堂に御本尊として安置されているのです。
釈迦如来が極楽浄土へ魂を送り出し、阿弥陀如来が極楽浄土へ迎え入れるという浄土宗経典の「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」に描かれる情景が関係しています。
Kyotaroの記憶では御本尊に「釈迦如来」と「阿弥陀如来」の二体が安置されてるのは京都では嵯峨野の「二尊院」と鷹峯にある「遣迎院(けんごういん)」ぐらいのような?
他にも境内には二尊院総門を伏見城から移築したという「角倉了以像」や「小倉餡発祥の地石碑」、「九頭竜弁財天」と本堂前の「竜神遊行の庭」などがあります。
<野宮神社から二尊院へのルート>
祇王寺から嵯峨鳥居本保存地区の“奥嵯峨”へ
二尊院を超えたくらいから嵯峨野めぐりも観光客は徐々に少なくなり、この辺りまで訪ねてくる人はかなり旅慣れた人達でしょう。
嵯峨野めぐりの最後は祇王寺となりますが、そこから先は“嵯峨鳥居本保存地区”へと繋がり、昔ながらの街並みとふたつの念仏寺が見どころとなります。
祇王寺の緑苔のじゅうたんは敷き紅葉でも有名
祇王寺は悲恋の尼寺として知られ、平清盛とその寵愛を受けた白拍子の祇王ゆかりの地。
初夏にかけては新緑の“青もみじ”と苔緑が眩しいくらいに美しく、11月中旬から境内の紅葉、その後12月上旬くらいまで苔の上に敷き詰められた“敷き紅葉”が楽しめます。
苔庭には遊歩道沿があって散策できるようになっています。また草庵の中も見学できます。
奥嵯峨にある“鳥居本保存地区”
祇王寺を後にしてさらに進めて行くと“嵯峨鳥居本保存地区”という、昔ながらのどこか懐かしい風景に変わってきます。
道路も通常の舗装された道路から石畳になり、茅葺の家屋も目立ち始めます。気付けば周囲は静寂に包まれ、本当に静かな山里という感じ。
この静けさを求めてこの地を訪れる人も非常に多いのではないでしょうか?Kyotaroはここに来ると心が落ち着き、リフレッシュして帰ることができます。
ちなみに嵐電「嵐山駅」からこのエリアまではゆっくり徒歩で40分程度かかります。
化野念仏寺の千灯供養は幻想の世界を演出
化野念仏寺は811年に空海がこの地で野ざらし状態の遺骸を埋葬するために五智山如来寺を建立したことに由来、法然上人がここに念仏道場を開き、現在の念仏寺となりました。
御本尊は阿弥陀如来像で境内に立つ約8,000体もの圧巻の石仏・石塔は当時この地に散在していたという無縁仏を掘り出し、集めたもので境内の見どころのひとつになってます。
8月の最終土・日には化野念仏寺境内の西院の河原(さいのかわら)に祀られている数千体の無縁仏にろうぞくを灯して供養するための千灯供養が行われ、夏の風物詩となっています。
夏の夕涼みの時間帯に大小様々な行灯が街道沿いに並び、幻想的な灯りが古き良き街並みを包み込みます。
<祇王寺から化野念仏寺へのルート>
愛宕念仏寺の千二百羅漢はアニメの聖地になってる?
愛宕念仏寺は化野念仏寺よりさらに徒歩10分以上、嵯峨鳥居本保存地区を清滝方面へ北上していった今回のルートで最奥に建つ念仏寺。
ここから先は清滝、いわゆる愛宕山への登山道へと続きます。
何と言っても「愛宕念仏寺」の見どころは圧巻の羅漢像たち。よく見ると一体ずつがとてもユニークな表情をしてることに気付かされます。
同じ念仏寺でも化野念仏寺とは全く雰囲気は異なり、また「るろうに剣心」のエンディングに出てきたことでも知られるアニメの聖地として有名です。
<化野念仏寺から愛宕念仏寺へのルート>
まとめ
如何でしたでしょうか?「季節を感じながら京都を歩くモデルコース」の嵯峨野編についてまとめました。
地元民ならではの視点からよく行楽シーズンになるとKyotaroも季節を感じに行くルートで四季折々の表情が異なり、何度言っても飽きることはありません。
特に嵯峨鳥居本保存地区、化野念仏寺、愛宕念仏寺のある“奥嵯峨エリア”はぜひ訪ねて頂きたいエリアです。
でも「人にあまり知られたくないエリア」でもあるので当サイトを訪れたあなたにだけ紹介させて頂きました。
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